JA宮崎経済連 家畜排せつ物や食品加工かす 事業副産物資源化に力

JA宮崎経済連が直営養豚場の堆肥などを原料に商品化した肥料

 JA宮崎経済連(坂下栄次会長)が、直営施設や関連企業から出る堆肥や食品加工の残りかすなど事業の副産物を地域資源として生かす取り組みを本格化させている。10月には第1弾として、ペレットにした堆肥入りの配合肥料を発売。今後は食品かすを原料とした家畜飼料の開発や農業以外の分野での活用も目指す。
 経済連は県内19カ所に直営養豚場を持ち、豚糞(とんぷん)を堆肥化して年間2万6千トン排出。また食品関連のグループ企業では、ジュースの絞りかすや野菜くずなどが年間計約8千トン発生するという。
 しかし、これまで家畜排せつ物の堆肥は畜舎周辺の農場で散布させてもらうのがほとんどで、食品かすも堆肥以外の使い道はなかった。このためSDGs(持続可能な開発目標)や循環型農業の機運が高まる中、2年前からさらに広く活用するための技術や商品の開発を進めてきた。
 最初に形になったのが、10月に発売する堆肥入りの配合肥料。2020年12月の改正法施行で堆肥と化学肥料を混ぜて販売できるようになったことを受け商品化したもので、直営養豚場の堆肥を民間業者に委託してペレット状に加工し、化学肥料などと合わせた。
 地元の堆肥を使うことで、円安やウクライナ情勢で高騰する輸入原料主体の肥料に比べ価格を2割ほど抑制。ペレット状に加工するには排せつ物を堆肥化する際の水分調整など手間もかかるが、流通や機械を使った散布がしやすくなるという。
 このほか、季節ごとに素材が異なるジュースの絞りかすや冷凍野菜工場から出るくずなどを、成分が安定した家畜飼料として商品化する取り組みも進行中。宮崎大と連携し、漁業や工業などへも活用の幅を広げられないか検討していくという。
 全国有数の農業地帯である本県で、農産物流通の中心的役割を担う経済連。事業戦略部の税田勇部長は「副産物を資源として活用することで低コスト化や環境負荷軽減を実現し、県産農産物の競争力向上につなげていきたい」と話している。

© 株式会社宮崎日日新聞社