女子高生が “本気で” 共同開発 バスオイル 化粧品メーカーから「ダメ出し」も

広島市の高校生が、1年がかりで地元の化粧品メーカーと商品を共同開発しました。コンセプトからデザイン、PR動画まで。本気で取り組んだ、その商品の出来ばえは?

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学園の象徴でもある白梅が校内に植えられている安田女子高校。

「自信と安らぎ」を届けたいと生徒たちが商品開発したのが、「海藻バスオイル 白梅の香り」です。

地元・化粧品メーカーのヤマサキと共同で商品化しました。ヤマサキは、コスメブランド「La Sana」を全国で展開しています。

今回のバスオイルの商品化は、去年、安田女子高校に新設された学科「STEAMコース」がきっかけでした

STEAMとは、科学・技術・ものづくり・芸術・文化、そして数学の頭文字を組み合わせていて、理系や文系の枠を横断して学び、問題を見つける力や解決する力を育むことを目的にしています。

生徒たちは、去年10月から1年間かけて企業や大学・研究機関と共同で4つのプロジェクトを進めてきました。

安田女子高校 安田 馨 副校長
「学校の外に生徒たちが出ていき、その中でさまざまな経験値を積む。あるいは本物に触れていくことで多くの刺激を得ていくことが大切だと考えています」

バスオイルの商品化は、学校側から「企業と共同で商品化に取り組みたい」という要望に応えたものでした。

ヤマサキ マーケティング部 山上 陽市郎 部長
「学校と連携するのは初めてだったので、学校の期待に応えるような取り組みができるかなっていうところは不安でありました」

ヤマサキは、ほかの業種とコラボした商品の実績はありましたが、高校生との共同開発は初めてです。

山上 陽市郎 部長
「われわれがふだん接しないようなことに触れて、新たな発想が生まれて、商品開発だったり、生かせればいいなと思っていました」

学校側からこんな要望があったそうです。

山上 陽市郎 部長
「学校から『失敗させたいんです。本気でダメ出しをしてください』というご要望があったので、そこにはびっくりしました」

生徒を傷つけてしまうのでは?という心配もあったそうですが…

山上 陽市郎 部長
「すごく不安でした。ただ学校の希望だったので、そこは心を鬼にして、ダメ出しをさせていただきました」

プレゼンテーションする生徒
「仕事内での人間関係がたいへんで、ストレスがたまって…」

生徒たちは、工場まで足を運び、商品コンセプトのプレゼンや香りの選択をしました。ただ、「なぜ、その香りなのか?」とダメ出しの連続だったそうです。

安田女子高校 STEAMコース 2年 山口 歩実さん
「失敗やダメ出しをポジティブに受け止めて、逆に自分たちでまた新しい、いいものを作ってやろうっていう気持ちにもなりました」

パッケージデザインは、生徒たちが3つのグループに分かれて作った案をネットで一般公開し、投票で決定しました。

安田女子高校 森下 克哉 先生
「デザインは本当にいちから生徒たちが考えて、『安田生』とは何なのかとか、それを実際に商品にしたときにどう、一般の方がたにアピールしていくのかっていうところも生徒たちはしっかり考えてやってくれていたので」

生徒たちが考えたバスオイルは、文化祭で先行販売することになりました。

生徒
「こんな感じのリボンに両面テープで外に貼る。ギフトによくある」

生徒たちは、商品の誕生までを紹介したポスター作りや商品の飾りつけ、説明書きシートの準備に取りかかっていました。

安田女子高校 安藤 亜矢子 先生
「これ、『3回分です』と書いた方がよくない?」

生徒
「お父さんがフタが1回分かと思って…」

安藤 亜矢子 先生
「使い方書いた方がいいよ!」

しっかりと意見を交換をしながら準備が進められました。

授業の最後にはPR動画をみんなでチェックです。初めて動画を見たメンバーは…

安田女子高校 STEAMコース 2年 蒲原 みの里さん
「自分たちでいちから作ったというのが、すごい伝わってきて、いいなと」

一方、制作したメンバーは…

安田女子高校 STEAMコース 2年 中川 七海さん
「今までだったら口頭で発表する機会が多かったんですけど、画像や動画でいちから自分たちで言葉を伝えるとなると、文字を入れたら見にくいし、画像だけで自分たちの思いを伝えるのがとても難しかったです」

さあ、文化祭当日です。3年ぶりに保護者を招いて開催されました。お披露目会場となった教室では、それぞれが自分の担当する持ち場で販売に向けて対応します。

ほかのプロジェクトで活動をするクラスメートが購入してくれました。

クラスメート
「同じクラスの友だちが何度も苦しんでいたり、時には泣いたりしながらがんばって作っているのを見ていたので、少しでも応援したいなと思って買いました」

1年生
「白梅の香りがすごいいいにおいだったので買いました」

生徒たちの保護者も気になるようです。

保護者たち
「一生懸命考えても自分たちの案が必ずしも使われるとは限らないし。少し厳しい言葉をいただくこともあったようだが、すごくいい活動だったと思います」

「意見を重ねていく難しさやけっこう苦戦する姿を見ましたけど。見守って、商品ができるのを楽しみに待っていました」

川本校長も1年間の授業を通じて生徒たちが大きく成長したと感じています。

安田女子高校 川本 有美 校長
「自分たちでやればできるんだっていう。道筋を通ったらできていくんだという、たくましさが生まれてきたかなというふうに見ています」

彼女たちが開発した白梅の香りがするバスオイルは、10月1日からインターネットでも限定販売されます。

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