14種類の漢方やハーブをまぜた特別な飼料で育てた「漢方和牛」が食べられる焼き肉店「焼肉KAMPO」が東京・赤坂にオープン。より自然に近い環境で育った牛はストレスを免れ、うまみあふれる肉質に仕上がっていた。(共同通信=中村彰)
同店が提供するのは、飼料づくりから育成、出荷、販売までの全工程を自社で行う「関村グループ」(宮城県栗原市)が生産する「漢方和牛」。使われている漢方由来の飼料はクワの葉、クマザサ、ソバ、コンブ、ハブ茶、ステビア、米ぬか、クコ、サンザシ、ナツメ、ロッカクレイシ、ハトムギ、エゴマ、エゴマの実。当初は4種類だったが、20年ほど試行錯誤を重ね、この配合に落ち着いた。
関村グループは人工授精を行わず、全てが自然交配。初乳を飲んだ子牛は育成専門の牧場で丁寧に育てられる。成長期には傾斜のある放牧場で足腰を鍛え、健康で丈夫な牛になるよう心がけているという。
試食した「漢方和牛」の部位は6種類。肉に合わせて塩か、フルーツの甘みを生かした薄味のたれで味わう。
それぞれに特長があり、部位ごとの味わいの違いが楽しめる。リブロースの脂はしつこさがなく上品な味わい。イチボはかみ応えがあり、最も肉らしい。インサイド、ランプはかみしめるほどにうまみがあふれる。
驚かされるのは肉そのもののうまみの濃さだ。アミノ酸は黒毛和牛の1・5倍。グルタミン酸は2倍以上との分析結果が出ているという。
霜降りほど脂が多いわけではなく、程よいサシ(脂)と柔らかい赤身のバランスが絶妙だ。しかも脂肪分の融点は普通の牛肉の36~41度に対し、22度前後とかなり低いため、文字通り口の中でとろけていく感触が味わえる。
サイドメニューの一つ、ゆでたタンは箸ですっと割れる柔らかさ。締めのカレーはじっくりと煮込んでホロホロになった牛すじとスパイスの相性が抜群だ。
当面はディナータイムのみコース料理を中心に営業する。コースは6000円、8000円、1万円など。運営が軌道に乗ればランチタイムの営業も行う予定だ。