石木ダム推進 緊急要望へ 佐世保市長、買受権発生見据え知事に

 長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、朝長則男市長は30日、ダム建設用地を元所有者が買い戻す権利(買受権)が来年9月に生じる可能性があるとし、大石賢吾知事に事業の推進を求める緊急要望をすると明らかにした。
 市議会全員協議会で説明した。市は、石木ダム建設を促進する「市民の会」とともに10月前半に知事と面会し、要望書を提出する方向で調整している。
 要望書では、買受権の発生を見据え、「今後の1年は事業の長い経過の中で最も重要」と指摘。石木ダムによる水源確保は「早期に達成すべき最重要事業。万が一にも事業進捗(しんちょく)への懸念が生じないように」と強調し、知事に事業の推進を求めている。
 市議会は22日に石木ダムの早期完成を求める意見書を可決しており、田中稔議長らも市長の要望活動に同行する予定。
 一方、土地収用法は、事業認定告示日から10年後に、収用地の「全部を事業の用に供しなかったとき」に買受権が生じると規定。県はダムの工事は進んでいるなどとし、「買受権は発生しない」との見解を示している。

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