県産品無駄にせず“健康茶”に 流通外ミカンと「そのぎ茶」活用 イオン九州で販売

イオン九州で販売されている健康食品「長崎県産 青みかんと茶葉の発酵茶」=東彼杵町役場

 市場に流通しない長崎県産摘果ミカンと「そのぎ茶」を活用し、産官学が共同開発した「長崎県産 青みかんと茶葉の発酵茶」がイオン九州(福岡県)のスーパーで販売されている。食品原料の開発・販売を手がけるサンダイ(大村市)の吉野由喜男社長ら関係者が9月29日、東彼東彼杵町役場を訪れ、岡田伊一郎町長に商品化を報告した。
 発酵茶は県立大や県の研究機関、サンダイなどの共同開発。同社によると、甘いミカンを育てるために6月ごろに間引きされる直径3センチ以下の摘果ミカンには、血流改善作用がある「ヘスペリジン」が多く含まれている。
 また、発酵茶に使う茶葉は6、7月に摘む「そのぎ茶」の二、三番茶。翌年の高品質な新茶のためにも欠かせない作業だが、二、三番茶は安値のため、摘果ミカンと同様、刈り取った後、放置されるケースもあるという。
 摘果ミカンを砕き、茶葉を一緒にもみ込み発酵茶にすることで、ヘスペリジンと茶に含まれるカテキンなどが結合。ヘスペリジンの体内への吸収率が通常の3倍以上になるという。東彼杵町の茶生産者でつくる長崎ワンダーリーフが製造し、大分県のうすき製薬が商品化した。
 入れたお茶はかんきつの風味があり、岡田町長は「レモンティーのようでおいしい。香りもいい」と評価。「世界初の特許製法ということで、ふるさと納税の返礼品に加え、そのぎ茶と含めてPRしたい」と話した。
 イオン九州の内田守上席執行役員は「捨てられているものを組み合わせ流通させることで、SDGs(持続可能な開発目標)につながる。健康食品の地産地消につなげ、貢献したい」と話した。健康食品を扱う九州7県の約180店舗で販売する。ティーバッグ20袋入り、1080円。
 一行はこの日、県庁を訪れ平田修三副知事にも報告した。

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