ヒョンビンが追憶する〝亡き兄貴〟 新作映画「共助2」再び注目を浴びる韓国俳優とは

映画『共助2:インターナショナル(以下、共助2)』が、韓国で9月7日に公開された。

2017年に公開された『コンフィデンシャル/共助(邦題/以下、共助)』の続編ということで、ファン待望の作品だ。

『共助』は、韓国で観客動員数781万人を動員する大ヒットを収めた。前作に続き、ヒョンビン、ユ・ヘジン、イム・ユナ(少女時代)に加えて、ダニエル・ヘニーが作品を盛り上げている。

前作からのキャストが大幅に変わることなく制作され、その点においてもファンを喜ばせている。

しかしあともう1人、キャストクレジットに名を連ねる可能性があった俳優をご存じだろうか。『共助』で、犯罪組織のリーダー役に扮した故キム・ジュヒョクさんだ。

彼は同作で、それまでの優しく明るいイメージを覆して、悪役に見事になりきり、錚々たる俳優が名演技を繰り広げる中、圧倒的な存在感を見せていた。

また、彼の変貌ぶりに驚いたのは観客だけでなく、ヒョンビンや監督も同様の反応を見せたといい、同じ業界の人からも認められたほど。存命であれば、きっと『共助2』にも配役されていたことだろう。

しかし2017年10月30日、交通事故により、享年45歳で突然この世を去ってしまう。

『共助』を通して、同年『第1回 ザ・ソウルアワード』で、男優助演賞を手にしてからわずか3日後のことだった。

受賞スピーチでは「映画で賞をもらうのは初めてです。今年で俳優生活20年ですが、このような大きな賞をいただけて、とてもありがたく思います」と喜びを語っていただけに、彼の訃報は韓国中に激震が走った。

ファンの悲しみは非常に深く、今もなお彼を恋しがる人は多い。

生前、彼が出演(または出演決定)しながらも、未公開だった作品は、なんと5作。

うち2作は、まだ撮影に入っておらず、映画『王宮の夜鬼(原題:猖獗[しょうけつ]/2018)』『毒戦(邦題:毒戦 BELIEVER/2018)』『王の遺言書(2018)』の3作のみが遺作として世に出ることに。

正確に言えば『王宮の夜鬼』は、撮影がスタートしていたものの、キム・ジュヒョクさんのシーンは全て撮り終えていない状況で、彼の役は俳優のキム・テウが代役を務めた。

そのため、本編には登場しないが、エンディングクレジットにはキム・ジュヒョクさんの名前が刻まれている。制作陣側からも、愛されていた証拠だ。

『共助』で共演し、『王宮の夜鬼』で再び息を合わせる予定だったヒョンビンも、帰らぬ人となったキム・ジュヒョクさんを、あるインタビューで追悼。

「ジュヒョクさんのことを考えると、とてもつらいです」と開口一番、悲しみを吐露したという。

そして『王宮の夜鬼』について触れ、「ジュヒョクさんが僕の兄役だったので、実の兄だと頭の中で想像しながら過ごしました。撮影現場でもずっと一緒にいたため、すごく恋しいです」と悲痛な思いを告白した。

たくさんの人から愛され、俳優としての実力が認められていたキム・ジュヒョクさん。彼の出演ドラマや映画が登場すると、今も韓国のネット上などでは彼を偲び、生前の出演作で盛り上がりを見せる。

そんな作品の1つが、映画『どこかで誰かに何かあれば間違いなく現れるMr.ホン(2004)』だ。女優のシン・ミナと俳優のキム・ソンホが主演を務めた、tvNドラマ『海街チャチャチャ(2021)』の原作ということで、注目を浴びた。

『海街チャチャチャ』の放送前後、原作映画を思い出したネットユーザーからは、キム・ジュヒョクさんを懐かしむコメントが相次いだ。ある人は、劇中彼が演じた役に触れながら「“ホン班長”、僕はジュヒョクさんのキャラクターが一番気に入っている」と投稿した。

キム・ジュヒョクさんがこの世を去ってから、5年という月日が過ぎようとしている。しかし現在もなお、名俳優としてファンの心に残り続ける。

韓国俳優界は、偉大なる人を1人失ってしまったのだ。

(構成:西谷瀬里)

(Danmee/よろず~ニュース)

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