ゴッホの名画が動く… 中国地方初 デジタルアート 新しい芸術表現 5年かけて権利クリア!

目も動いて…、口元はもぐもぐ…。動いているのは、すべてゴッホの名画です。

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奥田元宋・小由女美術館 吉川 昌宏 学芸員
「アートの体感型イベントのような感覚で楽しんでもらえる、そういう企画」

芸術の秋、デジタルアートという新しい芸術表現に浸ってみませんか。今回のテーマは、『5年かけて権利クリア! ゴッホの作品が動く…』

コロナ対策は継続しながらも、ことしの秋は、「芸術の秋」を満喫したいものです。不思議なデジタルアートの展覧会をじっくり紹介します。

あのゴッホ(の自画像)が動くという未知の体験が、みなさんを待っています。中国地方で初めてとなる展覧会は、実に権利処理に5年もかけて実現したものです。ゴッホの作品が世界のいろんなところにあるため、それだけ時間が必要でした。

動く絵は、「デジタルファインアート」と呼ばれていて、アメリカ・フランスなどでは、すでに新たな芸術表現のジャンルとして定着しているようです。どんなアートなのか、ご覧ください。

「動くゴッホ展」は、広島・三次市の「奥田元宋・小由女美術館」で開催されています。

まずは、動く肖像画のコーナーです。40点近くあるゴッホの自画像のうち、象徴的な作品4点が動いていました。

奥田元宋・小由女美術館 吉川 昌宏 学芸員
「よく見ていただくと肩が少し動いていたり…。背景の渦巻きも独特な作品ですけども、渦まいているようにぐねぐねと動いているような映像になっている」

37歳で生涯を閉じたオランダ人のゴッホは、およそ2000点もの作品を残しました。

展覧会には、その絵画をもとにデジタルアートの手法で制作された作品が展示されています。手がけたのは、ハリウッド映画でCGや特殊効果を提供する「MDK デジタルピクチャーズ」。その手にかかると、花を描いた作品の数々に新たな命が吹き込まれます。

吉川 昌宏 学芸員
「壁面の投影と、手前のテレビモニターの上映、それと下に鏡面加工を施したアクリルパネルが並べてあって、反射して中にモニターの映像が写りこむような雰囲気を作っているコーナーです」

ゴッホは、家族などに宛てた900通を超える手紙をつづっていました。

デジタルアートは、その手紙の内容を参考にして、ゴッホが本当に描きたかった情景を表現しています。

3方向からの巨大なデジタルファインアートに包まれる空間です。静かに流れるBGMが、ゴッホ作品への没入をいざないます。

人気作品「アルルの寝室」を立体的に再現したスペースがありました。

デジタルの演出が施されているのは、寝室の窓です。

吉川 昌宏 学芸員
「元の絵の方は、ふつうの窓なんですけど、(再現では)中にモニターがはめてあって、映像が動くようになっている」

記念撮影コーナーも設けられ、作品「夜のカフェテラス」に入り込んだかのような写真が撮れます。

訪れた人たち
「絵だけでなく、見る空間がすごく手に取るようにわかって、よかったですね」

「迫力がありました。絵が動くというのは、今の技術とあいまって、すばらしいと思いました」

奥田元宋・小由女美術館 吉川 昌宏 学芸員
「ゴッホが考えていたこと、感じていたことを新しいCGの処理でもって迫れる。中国地方でも初めての企画になっている」

「動くゴッホ展」は、10月25日まで開かれています。

― からくりは、一筆ひとふで、油彩の筆のタッチをデジタル技術で動かしているということです。ゴッホの筆のタッチは、映像化に向いていたということなのだそう。先進の技術が、芸術も進化させています。

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