三谷幸喜 & 草彅剛 香取慎吾 舞台『burst!~危険なふたり~』開幕 全てがburst!

強力タッグ、三谷幸喜演出、草彅剛、香取慎吾出演の舞台『burst!〜危険なふたり~』が開幕した。公演は26日まで、日本青年館ホールにて。

電話が鳴る、受話器を取る、いきなり青天の霹靂のようなことを告げられる男、名前は青山誠二。かけてきた相手は見ず知らずの男・警視庁警備部第三機動隊・根上大五郎。あり得ない程の災難が今、自分の身に降りかかったことを知る青山誠二。このままだと自分の命が危うい青山。ここは根上の指示に従うしかない状況で彼のいうままに事を慎重に運ばなければならない、絶体絶命!さて、2人はどうする?どうなる?というのが大筋。

ちなみに「burst」の意味は、動詞では破裂する、爆発する、はじける、名詞なら爆発、破裂、裂傷。感情の爆発、ほとばしりにもこの「burst」が使われる。
とにかく二人の会話に注目したい。細かい笑いが随所に散りばめれており、客席からは頻繁に笑い声が起こる。ドキドキ、ハラハラもさることながら、次はどんな面白いことがおきるのか、の期待が大きい。セリフの妙と二人の掛け合い、彼らの挙動、言葉、間合い、その全てが緻密に計算され尽くされており、とにかく楽しい。そして中盤で役を取り替える。

時折、雰囲気を盛り上げるピアノの旋律がシンプル。一粒で二度美味しい作品。
”本編”終了後は、草彅剛、香取慎吾が再び登場し、手にはマイク。香取慎吾は会見時に「8割覚えた」と言い草彅剛から「残りの2割は?」と突っ込まれていたが、完璧に仕上がっていた!!!

「さっき台本、持ってたよね」と草彅剛に言われる(笑)。隅から隅まで楽しめる舞台であった。

公開ゲネプロの前に会見が行われた。登壇したのは三谷幸喜、草彅剛、香取慎吾。
まずは今の心境。

三谷幸喜「今僕が着ているのは初演の時のスタッフジャンバーなんです。僕もこの作品が好きで、早くこの2人と再演をやりたいと思い続けて7年前からずっと着ています。その夢がようやく叶うということで感無量です」

草彅剛「慎吾ちゃんとの2人芝居です。慎吾ちゃんは三谷さん作品には多く出ているけど、僕はほぼこの作品だけで三谷さんにガッツリ面と向かって演出してもらっています。7年前の公演もとても楽しく終えた記憶がありますが、またこうやって再演できることはなにか意味があるのかなと…再演によって完成する作品もたくさんあるので、今回は初演の良いところもありつつ、また新たな発見もあるんじゃないかなと」

香取慎吾「三谷さんといろいろお仕事をさせていただき、いつも刺激的に経験したことのない時間を作ってくださいます。7年前の再演…7年前の映像や資料が一切残っていなくて、こんなこともあるんだ!?っていうぐらいになんにも残っていない…思い出しながら思い出すだけではなく、新しい要素をたくさんいれて、新しいと思ってやっていたら、『これ、7年前もやってましたね』…そんな発見もありながら、楽しい時間を過ごしてきました。いよいよ明日から始まるということで、三谷さんの作品に出られることも、ですが、草彅剛という僕がとても好きな俳優さんと一緒に芝居ができてとても楽しいです。僕よりも舞台経験が多いので、昨日通した時も、始まる直前に『慎吾ちゃん、よろしくね!』ってサラッと言われて(笑)、僕も『お願いします!』って、冗談じゃなくて本気の雰囲気で(笑)古くからの付き合いですが、改めて本気でぶつかり合えることができてとても楽しいです」

それから質疑応答。
三谷幸喜は新聞に「最強の二人」と書いていることについての質問が出た。それに対して「二人芝居って実はとても難しくて、たぶんこのお二人はそういうことは何も感じずにサラッとやってこられているんだけども、僕からするとよくこんなことができるなって…しかもこのお芝居は、普通の2人芝居ではなく、2人しか舞台には出ていないんだけど、2人が顔を合わせるのって、1回だけ。あとはずっと二人は違う方向を向いてしゃべっている。こんなのってあんまりないし、これは演劇的にはとても高度なことなんです。知らないでしょ?(と2人に向かって)」

それに対して草彅剛は「もっと早い段階でそういうことを言ってくれたら自信を持てたのに」と三谷幸喜に向かって。三谷幸喜は「普通は相手の顔を見て、呼吸を合わせないとできない…この舞台ではそれが無く、遠隔操作みたいに2人が遠くを見ながら喋っている。それでなおかつ呼吸がピッタリ合って、こういう綿密な構成の演劇空間が1時間40分続く。そんなことって、なかなかできない。できたとしてものものすごく稽古しなくちゃいけない。それをサラッとやっちゃう2人は、最強な2人だなと思います」と手放しで絶賛。それに対して草彅剛は「三谷さんにそんな風に褒めていただいて嬉しいです。ね?」と香取慎吾に。それを受けて「嬉しいんですけど、三谷さん、自分で作った作品を褒めているようにも聞こえる」と言ったところで全員笑う。和やかな雰囲気で進行。「僕の作品というよりは、2人の作品…だから自画自賛しています」と三谷幸喜。

ところで三谷幸喜は香取慎吾の電話番号を知らないそうで、意外な…。三谷幸喜、草彅剛とは稽古場から帰るときに一緒になったり、飲みに言ったこともあるそう。よって、香取慎吾に連絡を取りたいときは草彅剛に電話を。「おかしいですよね」と草彅剛。
公演はおよそ1ヶ月。長いようで案外、あっという間な1ヶ月。
草彅剛は「終わってしまうのは寂しいかな。明日初日を迎える今日はとてもワクワクしていて、もしかしたら今日が一番楽しいかなって思ったりします。だから気が早いですけど、再々演をしたい…そんな気持ちでもいます」
今から再々演を希望する草彅剛。
三谷幸喜は「演出家は寂しい仕事。僕が関わる時間は明日の初日が最後。それまでに完璧なものを作っておいて、幕が開いたら、千秋楽までおまかせ。僕も毎日ここに来ることはないですし、あとはもうこの2人におまかせするしかないんです。1ヶ月後は『え、まだやってたの?』ってそんな感じになっているかもしれません(笑)」と笑う。この2人の回答に対して香取慎吾は「一ヶ月後、僕は『やった!終わった!』ってなってます」と言い、「一ヶ月も緊張の日々が続くと思うと…それを楽しみながらなんだろうけど、終わったなぁっていう開放感があると思います。僕は、明日のこと、目の前のことしか見てないので、再々演って言ってるのが信じられない、ビックリ!」とコメント。そこで三谷幸喜が香取慎吾に向かって「初めて知ったんですけど、緊張されているんですか?」と言い、ソッコーで「緊張していますよ!」と香取慎吾。草彅剛は思わずニヤニヤ。「何、ニヤニヤ笑ってるんだよ!!」と香取慎吾。このやりとりが絶妙。「1ミリも感じない…香取くんはポーカーフェイスなところがある…もしかしたらほんとうに緊張しているのかもしれない」と言えば香取慎吾からセリフ、覚えていないと、まさかの発言、初日は明日だというのに……。続けて「もうちょっとなんです!8割ぐらいまでは覚えられたんで」と香取慎吾。これには草彅剛、驚愕「天才ですよね!明日初日なのに8割って半端じゃないですよね!あと2割をここからどうやって巻き返すんだろう?すごい」と。「覚えてないままやろうとしているんですよ。めっちゃ緊張しますよ!」と香取慎吾。どうも前回公演の時はセリフ忘れて客席に問いかけたことがあったようで……。
草彅剛は「ありましたね。まぁ、今回もなんかあるんじゃないですかね」と案外冷静。「皆に助けられながら、どうにか最後までたどり着けたら…毎日、瞬間瞬間ハラハラする舞台…本当にに楽しみ。2人だけなので、頼れるのはお互い同士。冷静に考えたら三谷さんがさっきおっしゃったようにすごい舞台だなと」とコメント。毎日、違う舞台、複数回行く予定のある観客は、そこが楽しみ???
最後に公演PR。

三谷幸喜「僕はこのお2人の大ファン、2人のために作品を作ることができたのはすごく光栄に思っています。1時間40分ありますが、お客様も、こんなに長く生の2人を見ていられるチャンスってあんまり無いと思います。ずーっと出ています。とても貴重な機会だと思いますので、その機会を存分に味わって楽しんでいただきたいと思います」

草彅剛「コロナ禍での有観客、いろいろ課題がある中、このように舞台を上演できることは本当に幸せに感じてますし、お客様にはとても感謝しています。慎吾ちゃんとの30年以上の絆、お互い、自分自身もわからないようなところで繋がっている気持ちだとか、大げさではないですが、2人の人生が交差して何かが生み出される。お互いの人生のすべてを賭けて…そんな素敵な舞台になればいいなと。来ていただける方には幸せを持って帰ってもらいたいと思っています。1ヶ月よろしくお願いします」

香取慎吾「コロナ禍でエンターテインメントというものが形をどんどん変えていく中で、有観客でお客様に足を運んでもらい、1時間40分、必ず皆様に良い思い出に…忘れられない楽しい時間だったり、ハラハラする時間だったり、そんな気分になれる舞台…たっぷりその時間を楽しんでいただきたいと思います。ちなみに僕はこの舞台には人生は賭けていません(笑)」

最後まで息のあったやりとり、だからこその2人芝居。
「ちゃんちゃん!!」と香取慎吾が締めて会見は終了した。

概要
『burst!〜危険なふたり~』
日程・会場:2022年10月1日(土)~10月26日(水)  日本青年館ホール
作・演出:三谷幸喜
出演:草彅剛 香取慎吾
主催:CULEN

公式サイト:https://burst-2022.com/

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