“歴史ロマン”を満喫 元寇船いかり引き揚げ 支援者見学「迫力感じた」

接岸した船上から、いかりの引き揚げ作業を見守る支援者=松浦市鷹島町

 「歴史的な瞬間に立ち会えました」-。松浦市鷹島沖で元寇船の木製いかりが引き揚げられた1日、市が企画した見学ツアーには県内や全国から訪れた支援者が3隻の船に分乗して作業を見守った。いかりが海中から約740年ぶりに姿を現すと船上からは「おぉー」という歓声が起こり、歴史ロマンを満喫した。
 ツアーは市が引き揚げの事業費を集めるとともに、松浦の元寇の歴史を広く知ってもらうおうと、2020年11月から21年2月にかけて実施したガバメントクラウドファンディングに応じた支援者から募った。
 旅費や滞在費などは自己負担にもかかわらず、県内をはじめ、宮城県や東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府など全国各地から34人が応募。1日はこのうちの24人が参加した。
 「ゴーヘー」(Go ahead)-。引き揚げ作業は、参加者の中から抽選で選ばれた人が、つり荷を巻き上げる合図を出して始まった。
 東京都から夫婦で参加した柴﨑力さん(53)はふるさと納税をきっかけに引き揚げを知った。歴史全般は好きだが元寇について詳しく知らなかったため、勉強してツアーに臨んだという。「歴史的な調査の現場を見る機会はなかなかない。教科書に載っている元寇について、(いかりの引き揚げを)実際に見て、迫力やリアルさを感じた」と感慨深げに語った。
 「一生の思い出になった」と語るのは同じく歴史好きで愛知県から訪れた丹羽香織さん(46)。歴史的な遺物が姿を現した瞬間を間近に見て、「参加したかいがありました」と興奮気味。松浦市が元寇船の引き揚げを目指していると聞き、「船の引き揚げがあれば絶対に来たい」と希望を膨らませていた。


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