【島根県・隠岐の島のおすすめ観光】縁結びから裏見の滝まで独特で面白い神社仏閣めぐり6選

島根県「隠岐諸島」は日本海に浮かぶ4つの有人島と約180の無人島から成ります。西ノ島、中ノ島、知夫里島の3島が「島前(どうぜん)」と呼ばれる地域で、一番大きなもう1島は実は島としての名前はなくて、「島後(どうご)」と呼ばれる地域です。隠岐ユネスコ世界ジオパークとしても認定され、神々が住み、地球が身近に感じられる離島、隠岐の島を現地からご紹介します。

本州から船で隠岐の島へ!

隠岐の島へのアクセスは、東京からなら、

①【飛行機と船】米子鬼太郎空港か出雲縁結び空港まで1時間30分ほど、その後高速船(約1時間)かフェリー(約2時間から2時間30分)

②【列車と船】 ①と同じ高速船又はフェリーに乗り新幹線と在来線で米子駅か松江駅まで

③【飛行機だけ】 大阪空港か出雲縁結び空港経由で隠岐世界ジオパーク空港まで飛行機で行く(いずれも約2時間)

という選択になります。

今回は飛行機で米子鬼太郎空港へ飛び、七類港へ接続バス(約30分)で移動、その後フェリーに乗って島後の西郷港へ行く、というルートでした。都心を出てから5時間ほどかかりました。

「フェリーおき」の船内には航路を示す案内板が掲示されていました。左の3島が「島前」、右の丸くて大きいのが「島後」です。左上のように、本州から見ると、島前のほうが手前にあるというわけですね。その昔、噴火口外輪山だった地形が海に沈んで3島になったそうです。

島前と島後は、フェリーか高速船で結ばれています。島前の3島間は内航船が運行されています。上の写真は内航船の「いそかぜ」で、車両の積み込みができる「フェリーどうぜん」も利用できます。小さな船体の「いそかぜ」は海上バスみたいでのんびりでした。

島後の「那久岬」からは目と鼻の先に島前が望めます。この岬には白い那久崎灯台があります。

「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」で盛り上がってます!

ジオパークとは、変化し続ける地球環境を知り、未来を考えるために、その地域の地質遺産を保護・教育・持続可能な開発の総合的な考え方によって管理している地域です。そのうちユネスコに認定された地域が日本には9地域しかなく、隠岐ユネスコ世界ジオパークは、島前・島後の4島と付近の島々、海域を含んでいます。

上は様々な地層が見れる「赤壁」。知夫里島の西海岸にありますが、かなりの絶壁! なんと600万年前の火口跡もわかるのだとか。

同じく知夫里島の「赤ハゲ山」は標高325メートル。島前の島々も望めますが、放牧場ではたくさんの牛にも出会えました。

そして、ジオパークとは直接関係はありませんが、このあたりはいわゆる「天使の梯子」と呼ばれる雲間からの太陽の光がよく見られるのだとか。青い空から青い海へいくつもの天使の梯子がおりていました。神々しい眺めです。それでは、神社仏閣6選とそれぞれのエピソード、ご紹介します。

玉若酢命神社|縁結びのご利益と蛇の寝息

島後の玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)は、縁結びや勝負事の神様。玉若酢命(タマワカスノミコト)を主祭神としていて、あの出雲神社と同じ大国主命(オオクニヌシノミコト)も祀られているそうです。しめ縄も立派!こちらが「拝殿」です。

「拝殿」の後ろにあるのが「本殿」で、隠岐造りだそう。毎年6月5日には島後三大祭の一つである「御霊会風流(ごれえふりゅう)」が開催されて、8つの地区から神馬が集まって境内を駆け上がるそう。

境内にある「八百杉(やおすぎ)」はなんと樹齢千数百年という巨木。木の穴「室」の中には大蛇が眠っていてその寝息が聞こえるのだとか。

壇鏡神社|裏見の滝からの眺めが荘厳!

杉の木々の間の参道のその奥にあるのが「壇鏡神社(だんぎょうじんじゃ)」。奥へ進むと、左に雌滝、右に雄滝の二つの滝があり、雄滝の手前に社殿が建っています。

この「壇鏡の滝」は名水百選にも選ばれているそう。

この写真、雨のように見えますが、雄滝の滝壺側からの眺めです。滝の裏側から滝を見ることができるのが「裏見の滝」。何とも荘厳です。

水若酢神社|古典相撲を奉納!そばに古墳もあります

「水若酢神社(みずわかすじんじゃ)」は隠岐のなかで最も社格が高いとされる神社である一宮(いちのみや)。ここに来てみたら、なにかスッとするすがすがしさがありました。

境内には相撲の土俵があります。奉納相撲はあちこちの隠岐の神社で行われます。その中でも隠岐古典相撲は、なんと夕方から始まって終わるのは次の日の午後と、徹夜で行われるそう。面白いのは二番勝負で、1番目の勝者は2番目に勝ちを譲るところ。へんなわだかまりを残さないためなんだそうです。いいことです。

すぐそばには横穴式の「水若酢古墳群」があります。長さは11メートルもあるのだとか。

伊勢命神社|左右逆で伊勢神宮に似ている!

うっそうとした木々に囲まれて、なんとなく神秘的な雰囲気です。「伊勢」とは言うものの、隠岐国独自だそうですが、なんとなく三重の伊勢神宮に似ているのが不思議なんです。

こちら、境内側から見た画像です。手を洗う「手水舎(ちょうずや)」が境内に向かって右側、境内側から見れば左側にあって、これは一般的な位置とは反対側なんですね。その場合には、境内の外、反対側にあるむこうの山が本来のご神体になることがあるのだとか。伊勢神宮はそのような形になっているんです。

鳥居を出て道を挟んだ先には川がありますが、そこに向こうの山に向かって石段が組まれていました。こうなるとやっぱりあの山がご神体に見えてきます。ほんとのところはどうなんでしょうか。この謎はあの月間オカルト誌「ムー」でも取り上げられたとか。

焼火神社|海を照らす灯台もあった火の神

島前で一番高い「焼火山(たくひさん)」にあるのが「焼火神社(たくひじんじゃ)」。その昔は火を焚いて海上交通のための灯台があったといいます。

江戸時代以降に日本海を行き来した交易船の北前船。天候が荒れたら島前の3島に囲まれた海に集まって風待ち・汐待ちと避難したそうです。焼火神社にはその船員たちのための宿坊もあったそうです。裏には大きな社務所がありました。毎年大みそかには御神火を拝むために隠岐中から1000人以上も集まっていたそうです。

由良比女神社|いか寄せ浜前の島前の一宮

西ノ島にある「由良比女神社(ゆらひめじんじゃ)」。その鳥居の一つは「いか寄せ浜」の中にありました。以前は毎年12月から正月にかけてイカの大群が押し寄せてきて、地元の人たちはそのイカを拾ったのだとか。

こちらは海上守護神で海上安全、それに五穀豊穣などのご利益がある島前の一宮です。神社にはイカを拾う人たちを写した写真も掲示されていました。また、境内前の2本の桜の木の間では、桜の咲く4月に夜神楽が開催されるそうです。

社殿の彫刻にもイカが!

灯篭の台座にもイカの姿が彫られていました。

他にも見どころ満載です!

隠岐の島にはなんと150~200もの神社があるのだとか。その一つ一つの歴史とエピソードを訪ねるのは知的好奇心を刺激されそうです。隠岐ユネスコ世界ジオパークの見どころ「ジオサイト」は100以上あって、「大地の成り立ち」、「独自の生態系」、「人の営み」を目の当たりにすることができます。神々が住み、地球が身近に感じられる離島、隠岐の島は独特で面白い島々でした。

隠岐の島旅

隠岐ユネスコ世界ジオパーク

[All photos by Atsushi Ishiguro]

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