松田次生「すごくもったいない」MOTUL Zトラブルでタイトル消滅。ZENT、ARTAにアクシデント再発【第7戦決勝】

 スーパーGT第7戦オートポリス、23号車MOTUL AUTECH Zはランキング3位で迎えた決勝、無念のトラブルに見舞われ、1周遅れの14位フィニッシュとなり、2022年シーズンのタイトル争いから退くことになってしまった。23号車の松田次生の振り返りとともに、他にもGT500クラスでは起きたアクシデント、トラブルでレース後に判明したものをまとめた。

 レース直後の23号車松田次生は、ニスモだけでなく、さまざまなチーム関係者から労われていた。9番手からロニー・クインタレッリがスタートを担当した23号車だったが、序盤に同じニスモの3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z、その後に38号車ZENT GRスープラに順位を奪われるなど、なかなかペースが上がらず、苦しい展開となった。

 65周レースの24周目にピットインした23号車はクインタレッリから松田次生にドライバー交代。その直後、トラブルが発生してしまった。

「ピットを出た瞬間から何かおかしくて、パワステが落ちてしまった。どうしてなのかわからなくて、すぐにアウトインでピットに入りました。そこで電源を入れ直したら直って、そこからは普通に走れました。なんでこのタイミングで……すごくもったいないですよね」と、レース直後の次生。

 実は前日の予選日にも23号車にはステアリングのトラブルが起きて、23号車はサーキットサファリ中の走行ができなかった。

「昨日も同じくステアリングのパワステ関係のトラブルだったのですけど、今日とは場所が違いました。昨日のトラブルは完全に直りましたが、どうして今回、2日連続でステアリングまわりにトラブルが起きてしまったのか。ちょっとわからないですし、きちんと原因を調べてもらって直さないといけないですね」と次生。

「前半スティントでロニーが苦しかった部分があったのですが、僕の時はタイムとしては悪くはなくて、トラブルがなかったならば、12号車(カルソニック IMPUL Z/6位)、3号車(CRAFTSPORTS MOTUL Z/7位)のあたりにはなれたと思います。トラブルは僕らドライバーでは何もできないところなので、仕方がないですね」

 23号車は結局、14位でレースを終え、ランキング7位に後退するだけでなく、トップと21点差が付いたことで実質、今年のチャンピオン争いから外れてしまうことになってしまった。

「タイトルの可能性もなくなってしまったので、最終戦はとにかく12号車、3号車が争う部分でサポートができればと思いますし、勝てるのだったらもちろん勝ちたいですので、自分たちが勝って、そして3号車、または12号車がタイトルが獲れればいいですね」

土曜、日曜とトラブルに見舞われただけでなく、今季はレース中のトラブルが多いMOTUL AUTECH Z

●またしても……のトラブル&アクシデント再発、38号車ZENT GRスープラ&8号車ARTA NSX-GT

 前日の予選Q1アタックに入る1コーナーでタイヤをロックさせてしまい、予選14番手からスタートした38号車ZENT GRスープラ。決勝ではサクセスウエイトの軽さを活かして序々に順位を上げていったが、タイヤ交換後の47周目に突如、ピットに向かい、ガレージへ。そのままレースを終えてしまったが、その原因がホイールナットが緩んでしまったとのこと。今季はこれで4度目の実質リタイアになり、トラブルの回数は数知れず……38号車の負のスパイラルは、最終戦に断ち切ることができるだろうか。

 38号者と同じく、またしても、のミスが起きてしまったのが8号車ARTA NSX-GT。予選6番手から上位フィニッシュが期待されたが、26周目のピット作業で痛恨のミス。給油とタイヤ交換を別々に行わなければいけないスーパーGTのルールの中で、給油とタイヤ交換を同時に行ってしまい、ドライブスルーペナルティ。11位でレースを終えることになった。

 8号車のピット作業でのミスは、前回のSUGOに続き2戦連続。「今回もピット作業ミスが出てしまいましたが、なぜそのようなミスが出てしまったのか、皆で話し合って行きたいと思います。誰が悪いとかではなくて、そういうミスを引き起こしてしまった何かがあると思うので、しっかりと検証して次回のレースに生かしたいです」と、リリースでコメントを述べた野尻智紀。

 レース後は野尻、福住仁嶺のドライバーふたりに、エンジニア、メカニックが集まり、長い時間、話合っていたのが印象的だった。

ピットストップの作業違反でドライブスルーペナルティを受けることになったARTA NSX-GT。写真は決勝前のウォームアップ走行時

●ピックアップ、パンクチャーに見舞われたダンロップ陣営

 タイヤウォールのロゴやマシンのステッカーをピンクに変えて、ピックリボン活動の啓蒙をアピールしていたダンロップ陣営だったが、オートポリスのレースではタイヤのピックアップに悩まされる結果となってしまった。

「ロングスティントのなかで、なんとか粘っていこうと走りましたが、ピックアップが出てしまいどうすることもできませんでした」と、リームリリースで述べた64号車Modulo NSX-GTの伊沢拓也。16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTも大量のピックアップが発生してしまったようで、16号車12位、64号車13位の結果に終わってしまった。

 16号車はさらにタイヤかすなどのマーブルを踏んでしまった影響でスローパンクチャーのアクシデントも発生してしまい、51周目に緊急ピットインすることになったのも痛かった。

練習走行などで一発の速さは見せたものの、ロングランの決勝でポジションを落としてしまったRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT

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