10月から変わる日経平均株価、日本電産など新たに採用される銘柄が相場に与える影響

「今日の日経平均はどうだった?」

投資家にとって、毎日チェックする日本を代表する株式指数の一つでしょう。ただ、何となく概要は知っていても、詳しく理解していないという方も多いのではないでしょうか。

日経平均株価とは、「日本経済新聞社が、東京証券取引所プライムに上場する約2,000銘柄のうちから、市場流動性の高い225銘柄を選定し、その株価をもとに算出する指数」のことです。日経平均は株価が高い銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。そうした事を踏まえ、日経新聞社は、2022年7月に日経平均株価の算出要領および構成銘柄選定基準の改定を発表しました。

この改訂は今月、2022年10月の定期見直しから適用される為、今回は改定される部分をお伝えしたいと思います。


日経平均、3つの改訂内容

まず、第一に構成銘柄のウエートに上限を設ける「ウエートキャップ」を導入です。キャップ調整比率は、ウエート(構成比率)が一定の水準(キャップ水準)を超えた銘柄のウエートを一時的に引き下げるため設定されます。

キャップ水準は導入時、2022年10月の定期見直しでは「12%」、2023年10月の定期見直しから「11%」、2024年10月以降の定期見直しでは「10%」と段階的に引き下げます。これに該当しそうな銘柄は、ファーストリテーリング(9983)です。

9月30日(金)現在の同社のウエートは10.31%となっています。2024年10月以降にウエートが10%を超える場合、「株価換算係数」に代えて「キャップ調整済み株価換算係数」を用いて採用株価の調整を行うとしています。

尚、 キャップ調整済み株価換算係数は「株価換算係数 × キャップ調整比率」です。

第二に定期見直しを年1回から年2回に変更します。これまでは、毎年1回、7月末を基準日として10月の第1営業日に実施していました。定期見直しによる入れ替え銘柄数は、上限を3銘柄としていました。それを、毎年2回、4月の第1営業日(基準日は1月末)と10月の第1営業日(基準日は7月末)に実施し、定期見直しによる入れ替え銘柄数は上限をそれぞれ3銘柄に変更し、最大で年に6銘柄が変更されます。

第三に、市場流動性の測定を行う指標のうち「売買高当たりの価格変動率」を「売買代金当たりの価格変動率」に変更します。 過去5年間の売買代金当たりの価格変動率を用います。

2022年9月5日(月)に日経平均の定期入れ替え銘柄が発表されました。

今回の定期入れ替えでは、セクター(技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6つの分類)間のバランスを考慮し、採用銘柄に日本電産(6594)、HOYA(7741)、SMC(6273)が追加。一方、除外銘柄はユニチカ(3103)、OKI(6703)、マルハニチロ(1333)となりました。

採用銘柄の見直しによる相場への影響

2021年から日経平均を算出する場合、「株価換算係数」を用いられる事になりました。

株価換算係数とは、株価水準の高低による影響をなくすため、各採用銘柄の株価に乗ずる数のことです。日経平均株価に新規採用する銘柄の株価換算係数は、原則として1を設定することになります。

株価換算係数を用いた事により、2021年から採用された任天堂やキーエンス、2022年から採用されたHOYAやSMCなどの値がさ株(株価の水準が高い銘柄)が組み入れられるようになりました。

ここで注意したい事があります。

採用銘柄と除外銘柄の売買金額の差が多い為、例えば日本電産株を購入するにはユニチカを売却しても足りず、他の日経平均採用銘柄を売却して、資金を捻出します。

日本電産 株価 9,000円 × 1,000株 = 900万円

ユニチカ 株価245円 × 1,000株 = 24万5,000円

差額:875万5,000円

その為、銘柄入れ替え日には日経平均が下落する可能性があります。前途記した3銘柄を採用、除外となった場合、約5,000億円の売り需要が発生する見込みです。

前途したように今後は、4月の第1営業日にも入れ替えが行われるため、リバランスが3月末に行われます。これにより、採用銘柄と除外銘柄の売買金額の差が生じると思います。

ただし、長い目で見た時は、現在のファーストリテーリングや東京エレクトロン(8035)、SBG(9984)などの寄与度の高い銘柄に左右される日経平均株価も徐々に良い指数になりうる可能性もあります。

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