朝ドラ「舞いあがれ!」 方言指導、出演の永井響さん(新上五島出身) “癒やしの五島”魅力を全国へ

「五島ことば」指導を担当し、島の小学校教師役としても出演する永井さん(NHK大阪放送局提供)

 五島列島が舞台の一つとなるNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」に、特別な思いで携わる人がいる。古里の新上五島町を離れ、ナレーター業を中心に活動する永井響(きょう)さん(31)=東京都=。全編にわたり俳優陣の方言指導を担うほか、島の小学校教師役も演じる。訪れた人を癒やす自然、魅力的な島民-。「やっぱり、五島はいい」。そう再認識した古里の魅力を、全国の朝に届ける。
 ドラマは1990年代から現代までの五島や大阪が舞台。ものづくりが盛んな東大阪に生まれ育ったヒロインの舞(福原遥さん)が、祖母が暮らす五島列島で伝統の「バラモン凧(だこ)」に魅入られ、パイロットになる夢を追う姿を描く。撮影は今春から続いている。

■ 絶対に出たい
 永井さんは県立上五島高を卒業後、東京の美容専門学校に進学。美容師免許を取ったが、「人前に出る仕事をしてみたい」と21歳で芸能の道へ。モデルや役者としてCMや映画への出演を地道に重ねた。2年ほど前に現在の事務所に移り、ナレーターや声優といった「声」の仕事を本格的に開始。名前や顔が出ない仕事は多いが、これまで20作品以上を担当し、手応えをつかみ始めていた。
 そんな中、古里が朝ドラの舞台になるとのネットニュースを目にした。役者として“表”に出る仕事は減らしていたが、永井さんには抱き続けた夢があった。「五島が朝ドラの舞台になったら絶対に出たい」。同郷の先輩俳優を通じて方言指導のオファーが入り、幼少期のヒロインが通う島の小学校教師、山口邦彦役も務めることになった。

五島列島にやってきたヒロイン舞が、小学校で授業を受けるシーン。教室から海を望む五島列島の小学校で撮影された。左が教師役を演じる永井さん(NHK大阪放送局提供)

■ 思い出し勉強
 五島列島に暮らす登場人物たちが交わす「五島ことば」。永井さんは標準語でつづられた台本を方言に直し、意味やイントネーションを俳優に教えている。五島列島は南北に島が連なり、一口に「五島弁」と言っても、島によって言葉が変わる場合も。永井さんは地元の家族に頼み、島民同士の会話を録音。「それをひたすら聞いて、方言を思い出しながら勉強した」と明かす。
 ドラマの設定は「五島列島のある島」。地域を絞らずに列島各地の「キャッチーな方言」を選び、相づちを打つ「およ」や、驚いたときの「ばえー」などを頻繁に盛り込んだ。方言指導を通じ、俳優たちが次第に「五島人」になっていく過程も見届け、「(舞の祖母役)高畑淳子さんは本当に『島のおばあちゃん』。俳優としてのすごさをビシビシ感じた」と語る。

■ 再起を支える
 上京後も「ベースはいつも五島にあった」と語る永井さん。今回、あらためて古里の魅力を感じている。「癒やしの島」として描かれる五島列島。登場人物が一度ゆっくりと休んで再起を図り、それを島民たちが支えていく。そんな作中のイメージは「実際の五島も変わらない」と永井さんは思う。
 自身が子どもの頃に遊んだ海岸でロケに臨んだときには、懐かしくもどこか不思議な気持ちに。俳優やスタッフが「五島いいね」と言ってくれるのも誇らしかった。物語の鍵となるバラモン凧が舞うシーンは「自分も知らない五島の一面を見られた」と振り返る。
 放送は3日スタート。永井さんは「五島出身という肩書を借りて仕事をしてきたけど、少しは“島孝行”ができたかな。これからも『五島のために』という思いを持ち続けたい」と話す。


© 株式会社長崎新聞社