港照らす新しい光に 横浜マリンタワーがリニューアル 360度眺望と歴史的遺産と

リニューアルオープンしたマリンタワー。緑の外壁が印象的だ=横浜市中区

 横浜マリンタワー(横浜市中区)が足かけ4年の歳月をかけリニューアルされ、9月1日オープンした。山下公園とのつながりを意識した大胆な低層部の壁面緑化が印象的だ。ベイブリッジからみなとみらい21(MM21)地区まで一望できるパノラマビューが、何と言っても自慢。世界一高い灯台としてかつて港を照らしたように、新たなシンボルとして光輝くことが期待される。

 改修にあたってはタワーが街のシンボル、誇りとして存在し続けることを目指したという。観光拠点としての役割だけでなく、市民の交流や安らぎの場所になることも掲げている。

 その大きなポイントの一つは、高さ約100メートルにある展望フロア。従来小割になっていた窓を4倍の大きさにして360度の眺望を楽しめるようにした。新旧の発展ぶりを見渡せる景色は、ここならではの趣がある。夜の時間帯には、その大きな窓にデジタルアート作品を映し出し、新感覚の映像体験を提供する。

 1階の吹き抜けメインホールに展示される歴史的遺産も見逃せない。画家・山下清さんの2枚組のモザイク画「横浜の今昔」と灯台灯具。灯具は2008年に灯台の役割を終えるまで活躍していたものだ。

 2階は安らぎを感じさせる落ち着いた空間に改装された。横浜を観光で訪れる人のための案内デスクを設置。横浜の見どころを紹介する映像やゆかりの書籍などを並べたスペースも設けられた。

 開港100周年を記念し1961年に建設されたタワーは、民間企業が長年保有・運営してきたが、入場者数の減少による経営難のため、2007年に横浜市が取得し存続させることにした。それだけに新型コロナウイルス禍もあって入場者数は課題だろう。現運営会社は年間30万人を目標としている。

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