9月の「円安」関連倒産は5件発生 1月からの累計12件、4年ぶり10件超 ~ 「為替」関連倒産(9月30日現在)~【9月速報値】

 9月の「円安」関連倒産は、8月と並び今年最多の5件(前年同月ゼロ)発生した。2022年1-9月累計は12件に達し、年間(1-12月)では2018年の14件をほぼ上回ることが確実になった。
 9月22日の外国為替相場は一時、1ドル=145円台まで円安が加速した。同日、日本銀行が24年ぶりに為替介入を実施し、円は140円台まで戻したが、再び円安が加速している。日銀がまとめた東京市場ドル・円スポット(17時時点)は、7月29日が1ドル=132.78円だったが、8月31日には1ドル=138.60円となり、9月29日は1ドル=144円68銭と、為替介入後も円安基調にある。
 9月の円安関連倒産の5件は、すべて卸売業だった。円安で海外からの商品仕入れコストが上昇するなか、上昇分を販売価格に転嫁できなかったり、海外の委託業者への支払負担の増加で資金繰り悪化を招いた倒産だった。
 資源高や物流費、人件費の上昇に加え、円安が追い打ちをかける形で物価を押し上げている。多くの中小企業は、コスト上昇分の価格転嫁が難しい状況が続く。
 さらに、過剰債務を抱える企業は新たな資金調達に苦慮しており、円安を一因とする企業倒産の増勢が現実味を帯びている。

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