NASAデータ使い宇宙アプリ 串本で開発コンテスト

2日間の成果を発表するイベントの参加者(2日、和歌山県串本町潮岬で)

 和歌山県串本町田原の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」からの初号機発射に向け、同町で1、2の両日、米航空宇宙局(NASA)などのオープンデータを活用して、決められた時間内でアプリケーションといった作品を開発する「ハッカソン」というコンテスト形式のイベントがあった。中学生から社会人までの9チームが挑戦し、年末を目指しているロケット打ち上げへの関心を高めたり、地球観測データを活用したりするアプリなどを披露した。

 NASA主催の「ナサ・インターナショナル・スペース・アップス・チャレンジ」という世界同時ハッカソンの一環で、国内では串本町を含め6会場で開催。ロケット発射を盛り上げたいと串本では2019年から開いているが、過去2年はコロナ禍のためにオンライン開催しており、実際に参加者が集まるのは3年ぶり。実行委員会(大橋直記実行委員長)が県宇宙教育研究会と共催し、県や串本町が後援した。

 イベントは同町潮岬にある県立潮岬青少年の家で開催。県内外から39人が参加し、紀南地方からも串本中や串本西中、上富田中の生徒が挑戦した。

 参加者は最先端のプログラミングスキルを持つ専門家にサポートしてもらいながら、それぞれが興味を持っている分野で、宇宙に関連するアプリなどのアイデアを形にすることに挑戦。成果を2日目に発表した。

 審査は、和歌山大学の満田成紀教授と県産業技術政策課の岡野至課長補佐、県宇宙教育研究会の藤木郁久事務局長の3人が担当。各チームが質疑応答も含めて10分の持ち時間でそれぞれの成果をアピールし、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の魅力をクイズ形式で理解できるなど宇宙をテーマにしたゲーム、太陽に注目して作った物語、月で起こる地震「月震」のマップ、串本からのロケット打ち上げを表現といった取り組みの発表があった。

 審査の結果、複数のデータを照らし合わせることができる相関地球儀と地図のアプリを開発した「桐蔭中学/高校/OBチーム」を最優秀賞に決めた。このチームの作品は世界大会へ提出するという。

 大橋実行委員長(29)=串本町田並=は「久しぶりに対面形式で開催することができたし、当初の予想を大きく上回る応募も頂いて大変うれしかった。宇宙やプログラミングに対する関心の高まりを感じた」と話していた。

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