川崎・ラゾーナで鎌で女性切り付け 女に懲役10年求刑

横浜地裁

 川崎市幸区の複合商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」で2020年12月、鎌で女性を切り付け大けがを負わせたとして、殺人未遂罪に問われた同区、無職の女被告(30)の裁判員裁判の論告求刑公判が3日、横浜地裁(奥山豪裁判長)であった。検察側は「執拗(しつよう)で悪質な犯行」と懲役10年を求刑、弁護側は当時心神喪失状態だったとして無罪を主張し、結審した。判決は11日に言い渡される。

 検察側は論告で、鎌を何度も振り下ろし切り付ける犯行態様や、被告の「外出時から誰かを殺そうと思った。頭を狙った」などの供述から、殺意はあったと指摘。当時の精神状態は「統合失調症の影響はあったが、完全責任能力が認められる」と主張した上で、「被告は騒音や幻聴などに悩み自暴自棄となり、逮捕されようと犯行に及んだ。凶器の選定なども自分の意思で行動している」とした。

 弁護側は「被告は統合失調症の影響を圧倒的に受けていた」と強調。殺意は認められず、「繰り返し聞こえた『死ね、はよいけ』との声の内容が(自らに向けて)反転し、早く人を傷つけないと悪いことが起きると脅迫観念に駆られ、殺害するよう受け止めた。意思に従った選択はできなかった」などと主張した。

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