DeNA新人広報・百瀬さんコラム:最多安打・佐野主将は冷静な野球人

主将3年目の今季もバットでチームをけん引した佐野

 キャプテンに就任して3年目となる佐野さんが2020年の首位打者に続いて、最多安打のタイトルを制しました。レギュラーシーズン最終戦までもつれ込みながらも打席での落ち着きは変わらず、やるべき仕事をした先に勝ち取ったものだと思います。

 チームを盛り上げ、鼓舞するキャプテンシーもありますが、やっぱり冷静な振る舞いが自分にとっては印象深いです。

 9月12日のヤクルト戦(横浜)で、エスコバーの村上選手への死球を巡って両チームのベンチともに熱くなっていましたが、ファーストで待ち構えていた佐野さんは首位争いをしているライバルにもしっかり謝っていて、野球人として冷静に対処していました。

 あの頃は自身の打撃の調子が悪く、打てないことにイライラしていたはずなのに、佐野さんはそういうそぶりを一切見せなかった。ルーティンである試合後の室内練習場での振り込みも欠かさない。言葉はそう多くないですが、周りの選手はきっと「俺もやらないといけないな」と刺激をもらっているはずです。ミスした若手選手に声を掛ける気配り上手なところもありますよ。

 佐野さんは入団した頃からバッティングフォームが固まっていて、毎日のように違うものを試していた自分とは根底が違いました。本当にぶれないところが強みだと感じています。

 試合後のロッカールームでは一人だけが盛り上がって「付いてこい」というわけではなく、全員が勝利に対して喜んでいる雰囲気があります。その輪の中にいる佐野さんはいつも、めちゃくちゃうれしそうです。

 レギュラーとして初めて迎えるクライマックスシリーズ(CS)ですが、打撃の状態も上がってきたし、普段通りのプレーで日本シリーズに導く活躍をしてほしいです。2019年のCSで敗れた阪神、そしてリーグ連覇したヤクルトへの雪辱を晴らしてほしいと願っています。(横浜DeNAベイスターズ・百瀬 大騎)

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