北朝鮮ミサイル発射、もし福井県の上空通過したら想定される事態 発射警報から通過までわずか4~6分

北朝鮮からのミサイルが東京上空を通過する場合のルートとJアラート送信地域(2017年9月作成)

 北朝鮮が2022年10月4日午前、弾道ミサイルを発射。日本の東北地方上空を通過し、太平洋の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定される。もし福井県上空を通過したらどうなるのか。想定される事態やどう行動すべきについてまとめた2017年9月の記事を再掲する。

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 北朝鮮が2017年9月15日、日本上空を通過する弾道ミサイルを発射した。同年8月29日にも発射し、同年9月3日には6回目の核実験(水爆)を強行するなど短期間に挑発・威嚇行動を繰り返している。警戒感が強まる中、中国高官が「東京の上空を越えるミサイルを発射するシナリオも考えられる」と発言するなど、福井県上空を通過する可能性も捨てきれない。そのとき、私たちはどう行動すべきなのか―。

 「ミサイル発射。ミサイル発射」―。防災無線から、うなり声のような警報サイレンと自動音声情報が流れる。携帯電話にもメールが配信される。

 北朝鮮が東京上空を越えるミサイルを発射した場合、福井県の上空も通過する可能性がある。発射を受け、政府は24時間いつでも全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて緊急情報を配信する。福井県は、中部地域と近畿地域、関東地域に飛来する可能性がある場合に警報が送信される。

 8月29日のミサイル発射では、9道県の計24市町村で防災無線などの不具合が発生。原因は機器の設定ミスや故障などが多かったが「県内では昨年11月の訓練で正常に受信し、スピーカーで流れることを確認した」と県危機対策・防災課の谷口竜哉課長(当時)は話す。

 北海道上空を通過したミサイルの場合、29日の発射時刻は午前5時58分に対し、発射警報は6時2分、襟裳岬(えりも町)上空を通過したのは6時6分で、通過発表は6時14分。9月15日の発射時刻は午前6時57分、発射警報7時ちょうど、北海道上空の通過は7時4~6分で、通過発表は7時7分だった。

 発射警報から通過までわずか4~6分しかない。国は発射時の対応例として3パターンを挙げており、谷口課長は「瞬時に判断して行動してほしい」と訴えている。

⇒2022年10月4日_北朝鮮ミサイル発射受け福井県が連絡会議

警報出れば全鉄道一時停止、市民生活に影響も

 福井県内で鉄道を運行するJR西日本、えちぜん鉄道、福井鉄道の3事業者は、関東、中部、近畿に弾道ミサイル飛来の恐れがあるとして県内でJアラートが作動した場合、いずれも運行を見合わせる。通勤、通学の時間帯に重なれば、市民生活にも影響しそうだ。

 JR西日本金沢支社は「乗客の安全確保が最優先で、発射情報を受信した段階で速やかに運行を止めるよう社内で定めている。発射の方向や注意が必要な地域かどうかなど(政府の)続報を踏まえ、安全を確認した上で順次再開する形になる」と説明する。えちぜん鉄道、福井鉄道はJアラートを直接受信できないが、内閣官房から緊急情報が一斉通知されるEm-Net(エムネット)や業務用携帯電話の緊急速報メールの情報を基に対応する。

 一方、原発について新規制基準でミサイル攻撃に耐えられるかは直接評価していないが、大型航空機の落下対策を求めており、原子力規制委員会の田中俊一委員長は「相応の対応はできる」との認識を示している。高浜3、4号機が稼働中の関西電力は「エムネットの情報に基づき、臨機応変に対応する」としている。

⇒ロシア軍の原発砲撃で危機感…集中立地する嶺南地域の自衛隊配備を緊急要請

ミサイル発射警報時の行動

■屋外や木造住宅にいた場合、頑丈な建物や地下に避難する。 ■屋外で周囲に建物がない場合、物陰に身を隠すか、地面に伏せ、頭部を守る。 ■屋内にいる場合、窓から離れ、できれば窓のない部屋に移動する。 (車に乗っていた場合) ■車はガソリンに引火する恐れがある。車を止め、建物や地下に避難する。 ■高速道路など車外に出ると危険な場合、安全な場所に止め、車内で姿勢を低くする。 (近くに着弾した場合) ■屋外では、口と鼻をハンカチで覆い、なるべく早く現場を離れる。 ■密閉性の高い屋内か風上に避難する。 ■屋内では、換気扇を止めたり、窓を閉め目張りをしたりして室内を密閉する。 ※有害な燃料が含まれている可能性があるため。 参照:内閣官房・国民保護ポータルサイト

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