集合住宅向けEV充電器。新築向けを中心に急増。昨年の5倍

日本政府は2035年までに新車販売で電動車を100%にする目標を掲げている。電動車の普及にはインフラとしての充電設備の普及が前提となるが、日本は欧米中と比べ充電インフラの整備が遅れていると指摘されてきた。しかし、このところ家庭用や商用車用でのAC普通充電器の伸びが好調で、また集合住宅向けでは認証・課金機能搭載の充電システム導入などでDC急速充電器が伸びており、22年からEV用充電器のストックは急速に拡大する見通しだ。

 9月22日、富士経済がレポート「EV/PHE充電・日本市場の最新動向と将来展望 2022」の一部を公表している。これによれば、2021年時点で国内のEV/PHV用充電器は、AC普通充電器が市場の9割以上を占めているが、21年のAC普通充電器市場は、既存機が3G通信対応であったことから通信規格切り替えが必要となり、既設機の撤去が多かったためストック市場はマイナスとなった。しかし、22年は家庭用や商用車用の好調からストックはコネクター数で8万6100個となり、前年と比べ2.5%の増加となる見通しだ。今後も家庭用を中心に拡大し35年には21年比4.1倍まで達すると予測されている。

 DC急速充電器ではABB社のデュアルチャージャーが設置実績を伸ばしており、22年のコネクター数は9230個と見込まれており、前年比11.6%増の2桁の伸びとなっている。今後もデュアルチャージャーの設置数は急増し市場は急拡大するとみられ、30年には21年比6.7倍の5万5000個までになる予測だ。

 マンションなど集合住宅向けは、利用者負担の仕組みが構築されておらず、また、管理組合の合意形成が難しいことなどから導入が進んでいなかったが、認証・課金システム搭載の充電器システムの導入や初期費用が発生しない導入プランの利用、また、導入補助金の活用などで、22年以降、市場は急速に拡大すると見込まれている。新築分譲マンションでは充電器や配線を建築計画に盛り込めるため既築分譲マンションと比較すると導入の障壁は低く、今後は新築分譲向けの大規模導入、さらに賃貸住宅での導入も急速に進展して行くと見込まれる。22年の集合住宅向け充電関連サービスで使用される充電器のストック量は21年比5.0倍の4000台の見込みで、35年には同1000.0倍の80万台にまでに達するとレポートは予測している。(編集担当:久保田雄城)

富士経済がEV/PHV用充電器の国内市場を調査。集合住宅向けの充電器は、認証・課金システム、導入プラン提供、導入補助金利用を背景に、2022年以降、新築向けを中心に市場は急拡大する見込み。

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