第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」第3日は3日、栃木県内各地(セーリングは千葉市)で16競技(特別競技の高校野球を含む)が行われ、長崎県勢は相撲成年が準優勝したのをはじめ、各競技で入賞が相次いだ。相撲成年は8大会連続入賞。
レスリングのフリースタイル勢は成年男子97キロ級の大津拓馬(ALSOK)、女子62キロ級の吉武まひろ(日体大)がそろって3位と健闘。空手成年男子形の林田至史(ラックランド)も5位入賞した。
このほか、スポーツクライミング成年女子がボルダリング予選を8位で通過し、入賞を確定させた。ボート勢も少年男子シングルスカルの坪森省吾(大村高)、成年女子シングルスカルの山﨑明音(仙台大)がそれぞれ準決勝組2位に入り、5~8位決定戦へ進んだ。
なぎなた成年は試合で山口、滋賀を倒して3回戦に進出。準々決勝に臨んだラグビー少年男子は大阪に0-72で敗れ、5日の5~7位決定戦に回った。
第4日は4日、各地で14競技を実施する。
◎相撲 成年団体準V 空白期間にパワーアップ
頼もしい3人の力持ちたちが、2年の空白期間を経て、さらにパワーアップして戻ってきた。
前回の2019年茨城国体まで7大会連続入賞していた相撲成年が、今年は準優勝という結果を出した。これは2013、14年の連覇に次ぎ、09年に並ぶ好成績。2人が30代のベテラン社会人チームが、4位だった茨城国体と同じメンバーで順位を二つ引き上げた。
24歳の先鋒松園(日体大職)、34歳の中堅田中(鶴南特支教)、33歳の大将髙橋(長崎鶴洋高職)の布陣。この日は優勝経験がある高知、和歌山を無傷で連破して4強入りすると、準決勝は体が一回り大きな埼玉を冷静に退けて、決勝の舞台に駆け上がった。
最後は5連覇を達成した新潟に1-2で屈したが、松園は全試合白星発進してチームを勢いづけた。「強い長崎を引き継ぎたかった」というエースは、予選全勝者が進む個人トーナメント戦も準優勝を飾った。
コロナ禍の影響が続いた過去2年間。試合は相次いで中止となり不安もあったが、一人一人が勤務先の学校で教え子たちに胸を貸しながら技術や感覚を維持してきた。結果、今季は8月の全国選抜社会人大会で初優勝。大将を予定していた野口(中野中教)がけがで離脱しても、控えの髙橋が準備を怠らず、大学でコーチを務める松園はレベルの高い学生たちと日々の稽古に励んできた。
この日、選手たちは試合を終えた後、翌日からの仕事に出るために夜遅く長崎へ戻った。「そこらへんにも強さの理由があると思う」(田中)、「相撲に人生を導いてもらったので、体が続く限り恩返ししたい」(髙橋)。社会人アスリートのかがみとも言える男たちがつかんだ全国準Vだった。