土砂崩落の秩父・中津川、県道復旧の見通し立たず…住民ら不満 対策要望「冬場に大雪で孤立の恐れ」

土砂崩落現場を視察する大野知事ら=13日午後2時ごろ、秩父市中津川地内

 埼玉県秩父市中津川地区の土砂崩落を巡り、同市議5人で構成する市議会会派「まほろば」が3日、北堀篤市長に要望書を提出し、県道の早期復旧と被災地住民への支援強化を求めた。

 9月13日朝に発生した土砂崩落は、県道210号を寸断し、集落2地区(中津川、中双里)の住民計16人の生活に支障が生じている。現在も県道復旧の見通しは立っておらず、道路損傷が激しい林道「金山志賀坂線」が住民たちの唯一の生活道路となっている。

 要望書では、林道を通って物資搬入や健康観察などは行えているが、復旧の先行きが見えず、住民たちは不満を募らせていると指摘。県と復旧進捗(しんちょく)状況の確認を随時行い、住民との情報共有を徹底するほか、緊急時の早期対応として、ドクターヘリや防災ヘリなどの活用を求めた。

 要望書を提出した笠原宏平市議は「本格的な冬場を迎えると、大雪などで林道がふさがれ、孤立してしまう恐れがある。除雪作業の迅速化に加え、住民が県道を通行できる一通路を確保してほしい」と強調した。

 北堀市長は「冬季一時避難場所を確保するなど、復旧長期化に備えた対策を進めるとともに、一日も早い道路復旧作業を県にお願いしていく」と話した。

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