滅菌装置製造の「サクラ精機」 長崎に新拠点 研究開発センター始動

開所式で事業内容を紹介する松本会長=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

 滅菌装置などの製造で国内トップシェアを誇る「サクラ精機」(長野県)の新拠点「長崎研究開発センター」が3日、長崎市出島町の出島交流会館内に開所した。装置の設計開発業務などを担う。
 同社は1871年創業。医療・産業向けの洗浄装置や滅菌装置の製造、販売を手がける。長崎センターは、滅菌装置の中枢となる圧力容器の設計開発などを担当する。将来的には県内の大学や企業と連携し、装置のエネルギー効率化や環境負荷を低減する技術開発にも取り組む方針。
 長野県千曲市の工場内の研究開発部門と常時テレビ会議システムで接続し、データなどを共有しながら連携して作業する。地元採用を含む技術者4人でスタートし、年間2人程度を目安に新規で採用する計画。
 長崎市内であった開所式で、松本謙一会長は「最大の課題である人材育成において、長崎こそが適地だと痛感した。この地で開発、製造を伸ばしていきたい」と述べた。

◎インタビュー 新素材、技術開発でも連携

 サクラ精機の松本謙一会長、東竜一郎社長、宮下芳文常務取締役に、長崎研究開発センターの現状や今後の展望などを聞いた。

 -人材確保が長崎進出の主な理由と聞いた。実際の採用状況と手応えは。
 技術者4人のうち3人を現地で採用した。特に求めていたのは機械系の技術者だが、県産業振興財団などの援助もあり、早い段階で応募いただいた。地元長野県より反応はいい印象だ。

 -今後、本県で事業を拡大する可能性は。
 現時点では決まっていないが、設計開発部門と物理的に距離が近い場所での製造拠点新設は当然視野に入る。造船業で培われた技術力など長崎が持つポテンシャルも進出の理由だ。

 -産学連携は。
 人材育成や確保の連携だけでなく、研究でも協力したい。われわれは創業以来、感染防止や病理診断での技術を培い、世界に広げてきた。その中核を担う滅菌装置をさらにイノベーティブなものにするため、新素材や新技術の開発などに共に取り組んでいければと思う。


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