話題のネトフリ・韓ドラ『シスターズ』150年前の原作小説「若草物語」から借りたものだった

話題の韓国ドラマ、tvN(Netflix)ドラマ『シスターズ』。連日、日本のNetflix(ネットフリックス)デイリーランキングにも顔を覗かせている人気作だ。

このドラマ、邦題では『シスターズ』と表記されているが、韓国の原題は『若草物語』。つまり、アメリカの有名な古典小説『Little Women』から来ているのだ。

『Little Women』は、19世紀後半のアメリカを舞台に、マーチ家の4姉妹を描いた物語。家族や隣人、友人らとの交流を通じて、それぞれの持つ欠点を克服し、自分らしい生き方を模索し見つけ出そうとする物語。

アメリカでは何度も映画化され、日本でも児童文学や少女文学、アニメ化もされるなど長年にわたり愛されてきた小説だ。

ここに登場するメグ、ジョー、ベス、エイミーの4姉妹は、ドラマ『シスターズ』では、オ・インジュ(キム・ゴウン扮)、オ・インギョン(ナム・ジヒョン扮)、オ・イネ(パク・ジフ扮)となり、21世紀の韓国を背景に新しい物語として蘇った。

では、原作小説からは何を借りて、ドラマ作品に仕上げたのだろうか。韓国メディア・KUKIニュース(www.kukinews.com)が丁寧にまとめていたので紹介したいと思う。

※この記事にはネタバレが含まれています、ご注意ください。

まずは、姉妹を比較してみよう。

長女のインジュは、財閥家ウォンリョン一家のウォン・サンア(オム・ジウォン扮)の提案で、彼女の娘ヒョリン(チョン・チェウン扮)と共に、末妹のイネの面倒を見ることになる。これは、原作でメグがよその家でトラブルメーカーの子どもたちを教える仕事をすることを反映しているようだ。

さらに、原作で”メグが一着だけのドレスを恥ずかしがる”場面は、インジュが大金ができるやいなや上質なコートを買ったことを匂わせ、”メグが履いたヒールの高い靴”が登場する箇所は、ドラマの序盤で描かれたチン・ファヨン(チュ・ジャヒョン扮)とシン・ヒョンミン(オ・ジョンセ扮)が、インジュの靴を言及する場面を連想させている。

次女のインギョンは、3姉妹の叔母、オ・ヘソク(キム・ミスク扮)と無理に時間を過ごしている。これは、原作で気難しいおばあさんの側で機嫌を取っていたジョーと同じ状況だろう。

また、文才のあるジョーの姿は、インギョンが報道機関で記者として働く姿で表現される。ボーイッシュな性格で、何事も躊躇なく行動するジョーは、信念が強く正義のあるインギョンの源泉と見える。

そして、末娘のイネ。彼女は早くから美術に才能を見せ、芸術高校に入学した。原作の末娘エイミーも芸術感覚を誇る人物だ。

エイミーは上流階級に入ろうとする欲望が強く、そのような人たちと付き合おうとする。この部分は「姉さんたちのように生きるより、ヒョリンの家で暮らしたい」と、野心を隠さないイネの姿とかぶる。

『シスターズ』では、幼い頃に病気で無くなった三女インソンのエピソードが登場した。姉妹の記憶に強烈に残ったように、原作では、ベスも病気にかかって死に至るまで皆に多くの影響を及ぼす。

姉妹以外にも、ドラマで大きな比重を占めるウォンリョン一家も原作と通ずるキャラクターだ。

新人政治家のパク・ジェサン(オム・ギジュン扮)とサンア夫妻は、原作で姉妹の隣人として登場するチェスター家からモチーフを持ってきたように見える。 原作で、バザーでエイミーの絵が人気が高いことを妬み、自分の娘が売っていた花瓶販売台と席を変えさせたチェスター夫人は、イネに描かせた絵を、ヒョリンの絵として賞を取らせたサンアを思い出させる。

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このように、原作を思わせる描写が登場する『シスターズ』。150年前の原作に、現代の韓国社会で照らし合わせ、新しい物語を作った。

ドラマの脚本を担当したチョン・ソギョン作家は、小説に対する尊敬と感謝を込め、あえてタイトルを『*若草物語』にしたかったと説明した上で、「世の中の多くの”若草物語”に私たちの話も加えたかった」と話している。

ドラマ『シスターズ』が向かう終着駅はどのようなものだろうか。原作と重なる部分はあるのか、この先の展開が気になるところだ。

(構成:星野沙)

(Danmee/よろず~ニュース)

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