キヤノン、宇都宮に半導体装置新工場 500億円投資、25年稼働へ

キヤノン宇都宮光学機器事業所=宇都宮市清原工業団地

 キヤノンが宇都宮市清原工業団地に、「半導体露光装置」を製造する新たな工場の建設を計画していることが4日、分かった。半導体需要が高まる中、生産体制を増強し、年間の生産能力を約2倍に高める。建屋建設や生産設備に500億円超を投じる計画で、2025年春の稼働を目指す。

 同工業団地には、露光装置を開発製造する同社の宇都宮光学機器事業所や、カメラ用交換レンズを製造する宇都宮工場、光学技術研究所があり、新工場はこれらの隣接地に所有する約7万平方メートルに構える予定。

 スマートフォンやパソコン、自動車など幅広い分野で使われている半導体チップ。このチップに超微細な回路パターンを描くのが露光装置だ。世界的な需要の増加に伴い、世界の半導体装置の各メーカーが増産に動いている。

 キヤノンも、同年までの中期経営計画で、競争力強化を図る四つの事業領域の一つに、半導体製造装置を中核としたインダストリアル分野を掲げている。

 現在、露光装置は主力の宇都宮と茨城県阿見町の計2拠点で生産しており、高まる需要を受け生産能力の増強を決めた。

 22年は前年比約3割増の年産180台を見込んでいる。新工場の稼働により、年産約360台へ増やす計画で、23年の着工を予定する。

 新工場では将来的に、次世代装置と位置づける「ナノインプリント装置」の生産も視野に入れる。より微細で高解像度かつ均一性のある回路パターンを、低コストで形成することができるという。

キヤノンの半導体装置新工場予定地

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