コロナ投薬判断、喫煙量が有効な指標に 福井大学など研究「1日20本、20年で治療必要性高まる」

 新型コロナウイルス感染症患者への投薬治療を判断する際、患者の累積喫煙量が有効な指標の一つになるとの研究結果を、福井大学医学部などの共同研究チームがまとめた。福井県内患者のデータを基に、たばこを1日20本、20年以上吸い続けている人は治療の必要性が高まると指摘。研究チームは「重症化リスクのある患者の早期治療開始につながる可能性がある」としている。

 1日に吸うたばこの本数と喫煙年数をかけた「ブリンクマン指数(BI)」が400以上の場合、肺機能の低下や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の危険性が高くなる。共同研究チームの福井大学医学部地域医療推進講座の大西秀典助教は「コロナの症状悪化の一因にもなり得る」と話す。

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 2021年7~11月のデルタ株流行期に県内で確認された喫煙者の患者341人(男性255人、女性86人、平均年齢37.7歳)を調査。投薬治療が必要と判断された74人のうち37人がBI400以上で、詳しく分析すると、投薬の必要性が糖尿病や肥満、その他の基礎疾患より高かったという。

 共同研究チームは大西助教をはじめ、福井大学医学部感染症学講座の酒巻一平教授、福井県健康福祉部の宮下裕文副部長ら。論文は7月20日、公衆衛生に関する国際学術誌の電子版に掲載された。

 大西助教は「コロナの重症化と喫煙の影響に関する報告は世界的にも少ない。喫煙習慣の見直しなど健康意識の向上につながればうれしい」。宮下副部長は「(現在流行している)オミクロン株については新たな検討が必要になるが、一つのリスクとして参考にできる」としている。

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