長崎で“子どもの就労訓練”に特化 放課後等デイサービス「コネクトわかば」

児童指導員の女性(左)が見守る中、パソコンのタイピング練習に励む福田さん=長崎市、コネクトわかば

 障害や発達に特性がある子どもが利用する放課後等デイサービス事業所。4月に開所した長崎市若葉町のコネクトわかばは就労訓練に特化した県内でも珍しい事業所だ。中高生を中心に受け入れ、本人の特性に応じて将来の自立に必要なスキルを学ぶ場となっている。
 長崎大前の電車通りの向かいにあるビルの1室。コネクトわかばの児童指導員の女性が見守る中、福田彩華さん(17)がパソコンのタイピング練習に励んでいた。
 福田さんは長崎大教育学部付属特別支援学校高等部の2年生。初めて訪れる場所では緊張し、初対面の人とコミュニケーションを取るのも苦手。これまで学校と自宅との往復だけだった。
 そんな福田さんがコネクトわかばに通うようになったのは8月。パソコンを扱う仕事をしてみたいと思ったのがきっかけだった。学校でもタブレット端末を使うことがあるが、専門的に学ぶ機会がなかった。母の智代さん(47)は「目的を持って、すごく生き生きとしている」と娘の変化を喜ぶ。
 福田さんは10月末から学校の実習で市内の事務系の事業所に通う。「実際に事務作業をしてみたい」と待ち遠しい様子だ。
 コネクトわかばではパソコンスキルのほか、調理や木工など就労訓練の約30のプログラムや活動を用意。1日の利用定員は10人で、コンビニに昼食を買いに行くなど、社会生活に不可欠な、身近なトレーニングもサポートしている。
 管理責任者で、元小学校教諭の小田哲也さん(51)は「せっかく就職してもサポートが足りないばかりに辞めてしまうことがある」との思いがあり、事業所を立ち上げた。「中高生の6年間で自分に合った仕事を見つけ、就職先に理解してもらうことが必要。家庭、学校に加え、気軽に立ち寄れる第3の居場所になれれば」と話している。


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