タイトルを争う重要な1点を掴み取ったCRAFTSPORTS高星明誠。ニッサン王者奪還に向けランキング首位維持【第7戦GT500決勝】

 10月1日に大分県のオートポリスで開催された2022スーパーGT第7戦『FAV HOTEL AUTOPOLIS GT 300km RACE』の決勝レース。現在GT500クラスのポイントランキングトップに位置する3号車CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)は予選13番手から追い上げ、7位入賞を果たした。

 2022年シーズンからマシンをZ GT500にスイッチしたニッサン陣営。NDDP RACINGが走らせる3号車は開幕からポイントを獲得し続け、大クラッシュも乗り越え、ランキングトップで第7戦を迎えた。しかし、その獲得ポイントと引き換えにサクセスウエイトは加算され続け、今回のオートポリス戦でも燃料リストリクター1ランクダウンでの戦いを強いられた。

「燃料リストリクターがかなり効いて、ストレートスピードが伸びないところでGT300に詰まってしまい、追い抜かれてしまったことが反省点です」とレースを振り返るのは、第2スティントを担当した高星だ。

「ですが、その後のペースは後半にかけてすごく良くなったので、その部分はポジティブに思っています」

 スタートとなる第1スティントを担当した千代から25周目にステアリングを引き継いだ高星は12番手でレースに復帰。高星自身が言うように、スティントの最初は1分40秒台で周回を続けるも、その後は39秒台へとペースを上げ、34周目には1分37秒857というベストタイムを記録する。

 そんなハイペースが影響したか、スティントの途中からは「燃料をセーブしなくてはいけなくなり、燃費走行をしていました」という高星。しかし52周目、GT300クラスのマシン回収のためにフルコースイエロー(FCY)が導入され、全車80km/h制限の走行になったことで流れは一変する。

「FCYが入ったことで助かりましたね。(燃料に余裕ができて)終盤プッシュすることができました。少し運もあったのかなと思っています」

 燃費走行をする必要のなくなった高星は、46周目に38号車ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)のリタイアによってポジションを上げると、前をいく36号車au TOM’S GR Supra(坪井翔/ジュリアーノ・アレジ)との7番手争いを繰り広げる。

2022スーパーGT第7戦オートポリス au TOM’S GR Supraを追うCRAFTSPORTS MOTUL Z

 テール・トゥ・ノーズのバトルを展開する両車だったが、60周目に坪井がバックマーカーに引っかかった隙をついた高星が3コーナーでオーバーテイクに成功。これで7番手に浮上した3号車は、その順位のままフィニッシュを迎え7位4ポイントを獲得。タイトル争いにおいて重要なポイントを加算することに成功した。

 この結果でポイントランキングにおいてもトップをキープすることになった3号車。しかし、ランキング2位の12号車カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)とは2.5点差、今回優勝を飾りタイトル争いに急浮上してきた同3位の17号車Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)とは4点差と、チャンピオンシップはかなりの接戦となっている。

 なお、第7戦のレース展開では、3号車がランキングトップを維持するためには36号車を追い抜く必要はなく、8位でも3点を獲得するため、12号車との差は1.5点差ながらランキング首位となる。だが、近年のスーパーGTタイトル争いでは、最終戦でその1点が明暗を分ける展開も多く、ポイントはあるに越したことはない。

 そして高星も「本当に最終戦はガチンコ勝負になると思います」と油断はしていない。

「ここまで来たからには何が何でもチャンピオンを獲得できるように、万全の状態で最終戦に臨みたいです」

 3号車が最終戦でチャンピオンを獲得することになれば、ニッサン/ニスモ陣営としては2015年松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH GT-R以来、7年ぶりのチャンピオン奪還となる。その重圧をNDDP(ニッサン・ドライバー・デベロップメント・プログラム)出身のふたりは乗り越えることができるだろうか。ノーウエイトでガチンコ勝負となる最終戦が楽しみだ。

2022スーパーGT第7戦オートポリス 高星明誠(CRAFTSPORTS MOTUL Z)

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