経常収支比率が18年ぶり80%台 山口県内19市町2021年度決算

 山口県は全19市町の2021年度の普通会計の決算見込みを発表した。新型コロナウイルス対応のため例年に比べると歳出の規模は大きくなったが、早期健全化を求められる基準は全市町がクリアした。財政の弾力性を示す経常収支比率は、新型コロナ関連で普通交付税が大幅に増えて改善し、18年ぶりに80%台となった。

 19市町の合計の決算規模は、歳入が前年度比10・1%減の7359億7400万円、歳出は11・5%減の7069億3900万円だった。例年より大きな規模だが、前年度は1人10万円を支給する国の特別定額給付金事業があったため、いずれも減少となった。

 経常収支比率は5・8ポイント下がり、89・7%と改善した。ただ、県市町課は「高齢化で社会保障関係費の扶助費が増える傾向は変わらず、本年度は再び90%台に悪化するだろう」と見込んでいる。

 収入に占める借金返済額の割合を示す実質公債費比率は、柳井市が0・7ポイント減の9・2%、光市が1・0ポイント減の6・0%など10市町で下がった。岩国市は0・3ポイント増の4・2%だった。最も低いのは、国から臨時財政対策債を受けていない阿武町のマイナス0・9%で、4年連続のマイナス。県平均は前年度と同じ6・7%だった。

 現在の負債の大きさを表す将来負担比率は14市町で低下した。山口市と宇部市は建設事業のため上昇した。健全化基準の350%を超える市町はなかった。岩国市や上関町など5市町は、基金などの自前の財源の方が多いため算定されなかった。県平均は9・0ポイント減の33・2%で、2年連続で下がった。

 県市町課は「普通交付税の増加が影響した。国の施策で下がっているので、地方債の残高を減らし、必要な基金を積み立てることが引き続き必要になる」としている。

 普通会計の赤字割合を示す実質赤字比率と、公営企業会計などを加えた全会計の連結実質赤字比率は、赤字の市町がないため算定されなかった。

 127事業を対象にした公営企業会計の決算は、国から新型コロナ関連の補助金が交付された病院事業が、過去10年で初めて黒字に転じた。病院事業が全体を押し上げ、単年度の収支総額は30・1%増の63億8100万円となった。赤字の事業数は28事業と12事業減った。

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