さだまさし、「舞いあがれ!」でのナレーションのスタンスは「舞のおじいちゃんみたいな感じ」

NHK総合ほかで放送中の、福原遥がヒロイン役を務める連続テレビ小説「舞いあがれ!」(月~土曜午前8:00ほか)。本作で語りを担当するさだまさしが、ナレーションを務める上での心構えや作品の見どころを語った。

連続テレビ小説107作目となる物語の舞台は、1990年代から現在。主人公の岩倉舞(福原)が、ものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生の物語だ。20年に同局の「心の傷を癒(いや)すということ」で、第46回放送文化基金賞番組部門テレビドラマ番組最優秀賞を受賞した桑原亮子氏によるオリジナル作品となっている。作品には、福原のほか、高橋克典、永作博美、横山裕(関ジャニ∞)、赤楚衛二、山下美月(乃木坂46)、高杉真宙、長濱ねる、高畑淳子らも出演する。

さだは「まさかナレーションをやるとは思いませんでした」と話し、「長年『朝ドラの主題歌をやりたい』と言い続けているので、しゃれで『また主題歌じゃないの?』とは言いましたけれど(笑)。これはもうお約束のコントになっています。昨年の『カムカムエヴリバディ』の平川唯一役に続いて2年連続の出演となります。『こんなに続けて出ていいのかな』とも思ったのですが、僕は長崎県出身ですので、五島列島が舞台になるとうかがい、ご縁を感じてお受けしました」とオファーを受けた理由を明かす。

続けて「中学2年生の時に『おはなはん』にハマって以来、視聴者として連続テレビ小説を見続けています。朝ドラはいつの世も、その時代が抱えているものを拾い上げてくれるので、“ご時世”がはっきりと見えますよね。なるべくたくさんの視聴者の方に満足していただけるように番組を作るのは、大変だと思いますよ。そのナレーターですから、責任は重いです。ツッコまれないようにしなきゃ(笑)」と気持ちを引き締める。

そして、「いただいた台本を読んでみたら、あんまりベラベラしゃべらないタイプだったので、ありがたかったです。ナレーションというのは、ただのト書きじゃないんですよね。必要最低限のことをきちんと伝えつつ、登場人物たちの気持ちを支えるという役割。今回、僕の役どころというか、語りの発し手は、五島列島の名物である『ばらもん凧(たこ)』なんです。五島で育った人にとっては、子どもの頃からいつも身近にある凧で、五島らしさを表すものといえばこれ、という象徴的なもの。ナレーションにもいろんな方法論があって、キャラクターを強く打ち出して、出演者の1人になっていくような作品もあるけれど、今回はそういうタイプではないので、楽ですよ。舞のおじいちゃんみたいな感じで見ていればいいので」と、本作でのナレーションへのスタンスを表現。

収録が進む中で「台本だけ読んで想像でつけていくのと、実際映像に声をつけるのとでは全然違う」と感じているそうだが、「『ここ、ナレーションいらないなあ』と思ってしまうくらい、素晴らしい画(え)がたくさん登場します。収録の最初のほうは、演出の方から『もうちょっと明るいとどうなりますか?』とか、『もうちょっと押したらどうなりますか?』『もう少し“さだまさし”を出したらどうなりますか?』とか提案をいただいて、お互いに探りながらやっていました。いいところで綱引きができていれば最高ですよね。とにかく、聞いて分かるようにするのは、とても難しいです。僕は九州人でイントネーションが怪しいので、『アクセント辞典』を常に携帯して、鼻濁音などにも気を付けています」と細かなすり合わせをしながら臨んでいる。

視聴者に向け、「子どもの頃はよく熱を出していた舞が、おばあちゃんの住む五島に預けられ、心と体が健康になって、だんだんと彼女の自我が目覚めていくあたりから、どんどん面白くなっていきます。五島で出会った人々と『ばらもん凧』をきっかけに、舞は空を飛ぶことに憧れ、人力飛行機の制作を経て、航空学校を目指します。もしかしたら、『舞いあがれ!』で舞の奮闘を見た若い女性の中に、パイロットを目指す方が増えるかもしれませんね」と期待。

そして、「印象に残るシーンや、見どころも随所にあります。五島の景色は美しいし、お話にはちょっとホロッとさせられるし。登場人物はみんな、情に厚い、温かい人たちなんだけれど、それぞれに生活の苦労もあるし、情の行き違いもある。よかれと思ってする災いもある。意外な人が助けてくれたりもする。作り手が見据えているものがちゃんとしている作品です。それから、長崎らしさがとてもよく出たドラマだと思います。『地元枠』として登場する医師役にもご注目ください。『あ~、長崎や~』って。ホーム感がばっちり出ます(笑)」とメッセージを寄せている。

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