ガンバ大阪FW鈴木武蔵が明かす!「高田社長モノマネ秘話」「今、必要なこと」「南野拓実の適正」

鈴木武蔵が、2年ぶりにJリーグの舞台に帰ってきた。

今年8月、2シーズンプレーしたベルギーのベールスホットから、ガンバ大阪へ完全移籍で加入した鈴木。28歳となった彼は、残留争いの渦中にあるチームで奮闘している。

そこでQolyは、森保一監督の日本代表でも9試合に出場、1ゴールを記録しているストライカーに単独インタビューを敢行!

後編となる今回は、V・ファーレン長崎でのブレイクや「ジャパネットたかた」髙田明氏のモノマネ秘話、札幌のミシャ監督とのエピソード、ガンバ大阪移籍の理由や現状を打ち破るために必要なこと、さらには同じリオ世代の南野拓実についてなどを聞いた。

(取材日:2022年9月21日)

高木琢也監督の指導、ミシャ監督の言葉があったから…

――2012年に桐生第一高校からアルビレックス新潟へ加入した鈴木武蔵選手。大きく飛躍したのは、2018年にプレーしたV・ファーレン長崎時代だったのではないかと思います。今振り返ってどんな1年でしたか?

やっぱり、高木(琢也)監督ですね。気持ちの面やFWの動きなど、たくさんのことを教えてもらって、その指導をされた経験がすごく大きかったです。

高木さんもFW出身なので、自分が今どういう感情でいるかをすぐに察知してくれました。怒られたこともありましたし、そこは周りのサポートがあったからこそブレイクできたなと思います。

――シャドー的なポジションで結構プレーされていて、それが札幌に移ってからの活躍にも繋がったのかなと感じました。

そうですね。後ろからスペースを見つけて走るのは得意ですし、シャドーだとより俯瞰で見られるというか、走りやすい、背後へ抜けやすいポジションという感じでした。

――武蔵選手といえば、高田明社長のモノマネも大きな話題でした。あれはどんなきっかけでモノマネされたんですか?

高校の時からやっていて、当時は「似てないモノマネ」で笑いを取っていたんですけど、高田社長のだけは声の波長が合ったのか分からないですけど「めっちゃ似てるじゃん」と言われていました。そこから何か一発芸を振られたらそれをやったりしていたんです。

それで長崎のスポンサーを高田社長がやることになって、「いつか行けたらいいな」と思っていたら、本当に長崎へ行くことになって(笑)。お会いできて嬉しかったですね。

※アルビレックス新潟時代に始まり、長崎ではもちろん、札幌へ移籍してからも“持ちネタ”として重宝された。ガンバでもいずれ…。

――翌2019年、北海道コンサドーレ札幌へ移籍してそこでも活躍されました。現在も監督を務めるミシャ・ペトロヴィッチ監督からも様々な指導を受けたのかなと想像するのですが、印象に残っている言葉などがあれば教えてください。

最初札幌へ行ってなかなかうまくいってない時、ミシャさんが「お前のキャリアは保証するから、毎日楽しく笑顔で練習していれば大丈夫だよ」と言ってくれました。

それでだいぶ楽になりましたね、自分の中で。ミシャさんに言われたというのが一番大きかったです。

――今でも印象に残っているのが、清水エスパルス戦での直接フリーキック。本当にスーパーゴールで、その直後の移籍でした。あの時期は本当に調子が良かったのでは?

調子はすごく良かったですね。4試合で5点を決めてという感じだったので。本当に良いシーズンを送れていました。まあコロナで中断しちゃっていましたけど。

――直接フリーキックはかなり練習されていたんですか?

たまに福ちゃん(福森晃斗)に教えてもらいながら蹴っていました。

――福森選手からはどんなアドバイスを受けました?

「自分のフォームをあまり崩さずに」みたいな感じですね。「蹴り方はそれぞれあるから」と。それで「ちょっと落とす」みたいな。

福ちゃんもたぶん天才型なのであまり教えるのはアレだと思いますけど(笑)、一緒に練習していました。

ガンバ大阪に今、必要なこと

――そしてこの夏、Jリーグ復帰、ガンバ大阪加入を決断しました。その理由はどういったところにあったのですか?

個人的には海外でプレーしたかったという気持ちもありますが、一回日本に帰って、もう一回再出発じゃないですけど、やろうかなという思いもありました。

本当にガンバ大阪の強化部、監督を含め、すごく僕に熱心に語りかけてくれました。僕もこれほど大きなクラブに選手生活のなかで来たことはなかったですし、タイトルを獲れるチャンスがあるなと思って決めました。

――2年ぶりに戻ってきたJリーグ。プレーしていて変化を感じることはありますか?

18チームのレベルの差が以前よりもすごく縮んでいるという印象を受けていますね。

――ガンバ大阪は難しい試合が続いています。ベールスホット時代から厳しい戦いが続いている中で、どんなことが必要だと武蔵選手は感じていますか?

あまりプレッシャーを重荷にしすぎないことが大事かなと思います。闘う、球際やセカンドボールで走り負けないというのをベースに置きつつ、気持ちの面では考えすぎないこと。

降格するプレッシャーに負けていたら、やはり難しいゲームになってしまうと思うんですよね。ベールスホットの時もまさにそうでした。皆そこのプレッシャーにすごく苦労していたなと。それをどう搔い潜るかがすごく大事だと思います。

やはり気持ちよく、楽しく、激しくサッカーやっているチームを相手にするとなかなか難しい部分があります。

だからこそそこで僕らが上回る。闘いの部分や球際、走り負けないところで上回り、プラスしてファイトを楽しむ、闘いを楽しむ、サッカー自体を楽しむ。

あまり考えず、目の前の一つ一つの戦いにフォーカスしてやっていくことがいいんじゃないかと思います。

――8月27日の名古屋グランパス戦ではガンバでの初ゴールを記録されました。東口順昭選手からのロングキックを収め、そのままゴールという、ベルギーリーグのFWでよく見るようなゴールでしたね(笑)。

最初は収めて味方に展開しようかなと思っていたが、中にコントロールした時にボランチのプレスバックも甘く、センターバックもそこまで来ていませんでした。「あ、打てるな」という感覚でただ振り抜いただけです。

――あのコースは見えていた感じですか?

見えていたというよりはイメージですね。ゴールはほとんど見えていなかったです。「この辺に」という感じでした。

――ガンバ大阪のファン・サポーターに向けて終盤戦へのメッセージをいただけますか?

本当にここまで苦しい想いをさせてしまって申し訳ない気持ちです。でも僕らは絶対最後の1分1秒まで信じて走り続けるので、サポーターの皆さんにも信じてついてきてほしいなと思います。

南野拓実は「中央で良さを発揮する選手」

――最後に、日本代表の話をお願いします。武蔵選手が最後に招集されたのは2020年11月でした。そうしたなかで、今の代表チームをどんな感じで見ていますか?

個人の能力がすごく高いと思います。有力クラブでプレーする選手が増えてきて、やはり個人の能力が高くなっているからこそチーム力がすごく上がってきていると思います。日本サッカーの育成からの成長というのをすごく感じます。

――2ヶ月後に迫ったカタールワールドカップではどんなところに注目したいですか?

日本の個人の能力がどこまで世界に通用するかすごく楽しみです。強豪と対戦するグループステージの中で、戦術云々よりも個人の能力でどこまでいけるのか。そこが僕的にはすごく楽しみというか見たいところですね。

――リオ五輪世代でよく連絡を取り合う選手は?

(室屋)成とか、(南野)拓実も取りますし、タク(岩波拓也)や山中亮輔など。同い年くらいでU-17から一緒にやっていた選手はたまに連絡を取ります。

――武蔵選手が2011年のU-17ワールドカップに出場された時、南野選手が中央で武蔵選手は左をやっていた記憶があります。南野選手を今の代表でも「真ん中で使ったらいいんじゃないか」といった声がありますが、武蔵選手は一緒にプレーした経験を踏まえて南野の適性をどのように感じますか?

僕が偉そうに言うのもアレですけど(苦笑)、U-16代表の頃から見ている僕の感覚では、ゴール前やペナルティエリア内での動き、トラップで相手をはがす巧さ、そこの一歩の速さ、シュートの精度というのは、本当に光るものがありました。ペナルティエリア内での動きや背後を取る動きとかもすごくうまいです。

サイドで突破してどうこうするというよりも、やはり中央で良さを発揮する選手じゃないかなと、個人的には思います。

――本日はありがとうございました!

【動画】「サイドで使うよりは…」 鈴木武蔵がアンダー代表からの盟友・南野拓実の“再生法”を明かす!

明治安田生命J1リーグで現在17位のガンバ大阪は、10月8日(土)、横浜F・マリノスとアウェイで対戦。29日(土)のホーム最終戦では、ジュビロ磐田をホームのパナソニックスタジアム吹田へ迎える。

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