F1日本GP「ドライバーズパレード」 選手乗せ鈴鹿で出走へ 大久保さん、歌川さん大役

 モータースポーツの最高峰、F1世界選手権の今季第18戦・日本グランプリが7日から9日まで、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開かれる。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、3年ぶりとなる日本開催。9日の決勝レース前に行われる、20人のF1ドライバーをクラシックカーに乗せて周回する「ドライバーズパレード」に、糸魚川市から大久保峰生さん(65)と歌川和明さん(63)が出走する。

3年ぶりに開催されるF1日本グランプリの「ドライバーズパレード」に愛車で出走する大久保さん(右)と歌川さん

 愛好家団体「糸魚川クラシックカークラブ」で歌川さんは会長、大久保さんは事務局長を務める。F1出走は「日本海クラシックカーレビュー」などで生まれた縁から始まった。大久保さんが先駆けで、歌川さんは先輩に信頼を寄せている。
 今回は2人とも約40台の候補車の中から最終選考で、栄えある22台に選ばれた。
 大久保さんと愛車デイムラーSP250(1962、英)の選出は4年ぶり12回目。初出走の2002年は、この年F1デビューし、母国に凱旋(がいせん)した佐藤琢磨選手(ジョーダン・ホンダ=当時)を乗せて走った。「F1は独特の雰囲気がある。しかも佐藤選手。緊張した」と振り返る。
 2016年の駅北大火で大久保さんは自宅を全焼。多くの貴重品、思い出が失われた中で、佐藤選手との写真だけ焼け残った。「奇跡に思えて大切にしている」。

この年、F1デビューを果たした佐藤琢磨選手を乗せて周回する大久保さん。駅北大火で被災したが、この写真だけ焼け残った(大久保さん提供)

 歌川さんと愛車・オースチンヒーレースプライトマークⅠ(1959、英)の選出は4年ぶり4回目。初出走の時は、予備車になりドライバーは乗せなかったが、全体の先導車に指名され「手が震えた」と振り返る。その後は、エステバン・オコン選手(仏)ら有名ドライバーを乗せている。
 F1ドライバーを乗せるのは22台中20台で、2台は故障などに備え予備車に回る。誰を乗せるか当日朝のミーティングまで分からない。主催者側からは毎回「F1ドライバーは命懸けで戦っている。皆さんも同じ気持ちで」と伝えられる。
 大舞台に向けて、大久保さんは「選んでくれた方に恥をかかせるわけにはいかない。万全の整備で臨む」、歌川さんは「4年ぶりの機会。選んでもらったことに感謝し、良い緊張感で出走したい」と話した。

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