神奈川・綾瀬の養豚業者、飼料用米を栽培 輸入依存から脱却へ 原料価格高騰で畜産農家苦境

初収穫した飼料用米の作柄を確認する志澤会長(中央)ら関係者=綾瀬市吉岡

 急速に進む円安やウクライナ侵攻の影響による輸入原料価格の高騰で、畜産農家が苦境に立たされている。長年の課題でもあった主因の輸入依存体質からの脱却を目指そうと、綾瀬市吉岡の養豚業「ブライトピック」(志澤勝会長)が地元の休耕地を活用した飼料用米作りに乗り出した。最初の収穫が9月に行われ、関係者は栄養価が高いとされる稲穂を確かめた。

 市内では初となる飼料用米の田植えが行われたのは、目久尻川沿いに立ち並ぶ同社の養豚舎周辺に広がる約4千平方メートルの休耕地。水稲農家の古郡光雄さん(73)が9月21、22の両日、コンバインを操作して約1770キロを収穫した。

 養豚業界のリーダー役を務めてきた志澤会長(78)によると、トウモロコシや大豆など家畜飼料の大半は輸入に頼っているのが実情で、円安などの影響で価格が約4割高騰して畜産農家の経営を圧迫。ウクライナ侵攻が長期化し、食料安全保障の観点からも自給率向上の必要性が改めて示され、今回の耕蓄連携事業を地元農家に呼びかけた。

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