3年ぶりに泥塗り厄払い 「パーントゥ」にぎやかに 沖縄・宮古島

 【宮古島】仮面姿で泥だらけの来訪神が人や物に泥を塗って厄払いする沖縄県宮古島市平良島尻の伝統神事「パーントゥプナハ」が5日、同集落で行われた。新型コロナウイルスの影響で中止が続いていたが、集落内には3年ぶりに子どもたちの悲鳴と大人たちの笑い声が響いた。

 5日午後5時ごろ、島尻集落の外れにある「ンマリガー(生まれ井戸)」から登場した3体のパーントゥは子どもや大人、観光客、報道陣に容赦なく次々と泥を塗りつけた。あまりの恐怖に泣き叫んで逃げる子どもとその姿を見て笑う大人たち、自らパーントゥに抱き付いて全身を泥まみれにした観光客などで集落内は大いににぎわった。

 家族4人でパーントゥを出迎えた川田さん一家も顔中が泥だらけになった。4カ月の長女、夏鈴(かりん)ちゃんのほほをパーントゥに差し出した母の佐和子さん(41)は「元気な子に育ってほしいから塗ってもらった」と満足そうに話した。長男の陽丸(ひまる)くん(3)は「怖かった」と大粒の涙をこぼした。

 島尻のパーントゥは国指定重要無形民俗文化財で2018年にはユネスコ無形文化遺産にも登録された。 

  (佐野真慈、写真も)

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