社会人になると、新しい言葉を使う機会が増えますよね。使い慣れていない言葉を無理に使い、大事な場面で恥をかいてしまった……。なんていう人も少なくないのでは? そこでTABIZINEでは、知っているようで意外と知らない頻出ワードを徹底解説! 今回は、使い分けが難しい「計る」・「測る」・「量る」について、日本語に関する著書も多数手がけている、国語講師の吉田裕子さんに解説してもらいます。
「計る」の意味
「計る」は「はかる」と読み、はかりや定規などの計測機器を用い、ある基準をもとにして、ものの度合いを調べること。推しはかって見当をつけるという意味もあります。
また、「計る」には計画や計略のニュアンスがあるため、「将来を計る」「まんまと計られた」とも使います。
【例】
ストップウォッチで50m走のタイムを計る。
「測る」の意味
「測る」は「はかる」と読み、「計測」という熟語もある通り、「計る」と共通するところが多いです。計測機器を用いてものの度合いを調べることですが、特に、長さ・高さ・深さ・広さ・程度を測るときに使われています。
また、「測る」には推測・憶測のニュアンスもあるため、真意などを推しはかったり深読みしたりするときにも使われています。
【例】
病院で血圧を測る。
「量る」の意味
「量る」は「はかる」と読み、もともとこの字は「ます」を意味していました。したがって、「計る」や「測る」と共通する意味もありますが、特に、「分量」「計量」の語にあるように、重さや体積(容積)をはかることに使います。
「量る」には推量・酌量のように、未来や相手の事情などを推しはかるときにも使われています。
【例】
量り売りのお菓子を買う。
「計る」・「測る」・「量る」の使い分け方
「計る」・「測る」・「量る」はいずれも「はかりや定規などの計測機器を用い、ある基準をもとにして、ものの度合いを調べること」という意味がありますが、表のようにはかる対象で使い分けます。また、熟語でニュアンスをイメージするのも効果的です。
【コラム】「図る」・「謀る」・「諮る」はどう使い分ける?
「図る」・「謀る」・「諮る」も「はかる」と読みますが、ものの度合いを調べるという意味はありません。それぞれの使い分け方は上の表の通りです。
【クイズ】より適切なのはどっち?
【答え】
1→測る
2→計る
3→量る
1の正解は測る。水深をはかるので「測る」が適切です。
2の正解は計る。時間をはかるので「計る」が適切です。
3の正解は量る。体重をはかるので「量る」が適切です。
監修:吉田裕子先生
国語講師。都内大学受験塾・カルチャースクールで講師を務める他、書籍執筆、講演、企業研修、三鷹古典サロン裕泉堂の運営などの活動に取り組んでいる。NHK Eテレ『知恵泉』、NHK‐FM『トーキングウィズ松尾堂』など、テレビ・ラジオにも出演。著書に『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)や、『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)など多数。
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