住民「天災ではなく人災」 美郷・県盛り土崩落

台風14号の大雨で崩れた盛り土=4日午後、美郷町南郷神門(ドローン撮影)

 美郷町南郷神門の山で県の治山事業の残土による盛り土が崩れた。発生した土石流では人的被害こそなかったものの、破壊された治山ダムの構造物や木々が交じった土砂は一帯の田んぼを覆い、収穫目前の稲が埋め尽くされた。発生現場から40~50メートルの距離に住み、所有する田んぼの一部が被害に遭った鎌田広栄さん(68)によると、台風14号が接近した9月19日午前1時ごろに「ゴー」という轟音が響き、庭に出ると、すぐ近くを土砂が流れていったという。「土砂の流れる道が少しずれていたらと考えると怖くてたまらなかった」と当時の恐怖を振り返る。土石流発生場所の最上部は数年前から県の治山事業で土砂が運ばれていたといい、「天災ではなく、人災ではないか」と憤る。

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