5色の「そらあみ」五島の風景彩る 奈留島・江上天主堂前 11月6日まで展示

そらあみを掲げる島民ら=五島市、江上天主堂前

 長崎県五島市奈留島の島民らが漁網を編み上げるアートプロジェクト「そらあみ」の完成式が2日、奈留町の江上天主堂前のグラウンドであった。参加した約40人が縦5メートル、横30メートルの漁網を掲げ、風景を彩った。11月6日まで展示する予定。
 島民らでつくる実行委と市が主催。講師のアーティスト五十嵐靖晃さん(44)=千葉県在住=は、人と人、海や島の記憶をつなごうと、東日本大震災の被災地をはじめ国内外で実施。漁師町の奈留島では2019年から取り組み3回目。

江上天主堂を背景に掲げたそらあみ

 9月中旬から2週間、島内15カ所で住民ら延べ約200人が参加。海の「緑」や教会の「白」、ハマジンチョウの「赤」など、五十嵐さんが島で印象的に感じた5色の糸を使って編み込んだ。縦5メートル、横15メートルの網を完成させ、昨年制作分とつないだ。
 完成式で五十嵐さんは「朝夕、風向きで見え方が異なる。網の目を通じ、土地の風景を見つめ直す機会になれば」とあいさつ。参加者は一列に並び、シンガー・ソングライター松任谷由実さんが手がけた県立奈留高の愛唱歌「瞳を閉じて」を歌いながら掲げた。
 5カ所に参加した同町の柿森美惠子さん(68)は「地元以外の人たちとも楽しみながら編んだ。いろんな人の思いが込められた作品」と感慨深そうに見入った。 


© 株式会社長崎新聞社