【解説】インフル&新型コロナのダブル流行に懸念 ワクチン同時接種は可能に 時期にも警戒

今回は「ワクチン接種」について解説します。この冬は新型コロナに加えて、インフルエンザの流行が懸念されています。そんな中、今週、岡山市の小児科クリニックではインフルエンザの予防接種が始まりました。

この冬、インフル流行か その時期にも警戒

岡山市北区の青山こどもクリニックでは10月3日に子どもへのインフルエンザの予防接種を始めました。

(青山こどもクリニック/山田幸平 副院長)
「10月分の予約はおおむね7割埋まっています」

(3児の母親は―)
「インフルエンザ『大流行の予感』とか言われてるんですけど新型コロナと関係するかというとそれもどうかと思うので、できる予防対策があるのであればしておこうかなっていう」

こちらでは多い日には1日に約30人に接種を行っています。

(青山こどもクリニック/山田幸平 副院長)
「生後6カ月から12歳までの方は2回の接種が必要になります。その際、1回目と2回目の接種の間隔を当院では4週間空けて接種していただく形にしています」

この冬のインフルエンザについて、政府の予防接種・ワクチン分科会のメンバーでもある川崎医科大学の中野教授は――。

(川崎医科大学/中野貴司 教授)
「海外諸国は日本よりも早くいろいろな人の動きを解除したこともあって、(インフルの)患者さんが出てるんですね。それを考えますと今シーズンは日本でもインフルエンザが流行するかもしれません」

日本では過去2シーズン、新型コロナの感染が拡大した一方で、インフルエンザの患者は大幅に減りました。「抗体」が少ない人が多いと想定される中で、国内外の人の行き来が活発になってきていることから、流行への警戒感が高まっています。

さらに中野教授は流行の時期にも「注意」が必要だと考えています。

(川崎医科大学/中野貴司 教授)
「例えばオーストラリア。結構早めに(インフルエンザの)流行が始まったんですね。早くから流行が起こらないかということも、少し気に留めておかないといけないと思います」

インフル流行の時期に警戒

インフルエンザの流行は例年、1月下旬から2月上旬にかけて感染のピークを迎えます。しかし2022年、オーストラリアでは1カ月から2カ月ほど流行が早かったことから中野教授は「日本では11月下旬から感染者が増える可能性がある」と指摘しています。

「抗体」はワクチン接種から2週間ほどでできるとされているので、大人の場合は「11月上旬」、2回の接種が必要な12歳までの子どもは「10月下旬」までに1回目を受けた方が良いのではないかということでした。

そして、ワクチンを巡っては今シーズン、一つ見直しがありました。昨シーズンはインフルエンザのワクチンと新型コロナのワクチンを同じタイミングで接種することはできませんでしたが、国は「2つを同時に打っても有効性や安全性に問題はない」などとして、2022年7月に「同時接種」を認めました。

接種スケジュールの目安は?

次に「新型コロナ」のワクチンをみてみると、こちらは9月下旬以降、順次、「オミクロン株対応ワクチン」の接種が始まっています。ただし、「自分がいつ受けられるのか」は確認が必要です。

(川崎医科大学/中野貴司 教授)
「県によって、どういった方にオミクロン株対応ワクチンが接種できるかっていうのは、微妙な違いはあるようです」

新型コロナのワクチンを巡って、国は、60歳以上の人や基礎疾患がある人、医療従事者らを「4回目接種の対象」とし、「オミクロン株対応ワクチン」についてはこの「4回目」の人から始める、という方針を示しています。その他の人に関しては、順次対象を広げるとしています。

岡山・香川で最も早く、「オミクロン株対応ワクチン」の接種を始めたのが「高松市」です。このとき高松市が対象としたのは国が示した「4回目」の対象者です。

一方、岡山県では――。

(岡山県ワクチン対策室/安部保之 総括主幹)
「県内一斉に全ての方を対象として接種を開始することを決めました」

9月28日、岡山県は全ての市町村でオミクロン株対応ワクチンの接種を開始。対象は、高松市のように「4回目」に限定せず、3回目接種を含めた「12歳以上」としました。

国は、自治体の状況に応じて「4回目以外への接種の前倒しも可能」としているので、岡山県はこれをもとに、幅広い世代を一斉に対象にしました。

(岡山県ワクチン対策室/安部保之 総括主幹)
「みなさんが一斉に対象になることを決めた方が分かりやすいということで、このような制度にしております」

また、岡山県の場合は高齢者らへの接種機会が十分に確保できてるとして、4回目の接種についても60歳以上ではなく、12歳以上としています。

香川県のまとめによると、宇多津町・多度津町・まんのう町は岡山県同様に12歳以上の人の4回目接種を進めています。高松市は10月21日以降に3回目接種を終えた12歳以上の人にも接種券を送り、4回目接種の対象を拡大する方針です。

新型コロナとインフルエンザ、2つの流行が懸念されるこの冬は「ワクチン接種」について考えることがこれまで以上に増えそうです。

(川崎医科大学/中野貴司 教授)
「新型コロナ禍の2年間は、この年末年始の時期が終わった後は患者さんが2年とも増えました。呼吸器感染症はどうしてもその時期増えやすいと思います。一般的な予防行動、さらにはワクチン、両方ともしっかりと整えて予防に心掛けていただきたいと思います」

新型コロナのワクチンを巡っては5日、オミクロン株の一つで現在主流になっている「BA.5」に対応する新たなワクチンが特例承認されました。こちらは来週にも各自治体への配送が始まる予定です。

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