リアルすぎる… ジオラマでよみがえる日本の名城 「今はない建物が目の前に」 城郭模型作家・島充さんの技

日本の名城が、“リアルすぎるジオラマ” でよみがえっています。かつての広島城など、各地の城を再現した「ジオラマ展」で見ることができます。

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□ 彦根城[春]

桜の花に囲まれ、華やいだ情景が再現された「彦根城」。

□ 広島城[夏]

深い緑と静かな水面をたたえる夏の「広島城」は、天守につながる廊下の一部分が残る戦前の姿です。

□ 備中松山城[秋]

まるで絵画を見るような紅葉に彩られた秋の「備中松山城」。

□ 松江城[冬]

そして、雪化粧をまとった「松江城」は、モノトーンの色彩で表現されています。

「広島城 二の丸」で開かれている「城郭ジオラマ展」は、風景に溶け込むように造られた城郭をはじめ、日本の名城の模型作品17点が並びます。

石垣や瓦、屋根の形など細部にまでこだわった造りは臨場感にあふれています。

□ 福山城天守

築城400年にあわせて制作された福山城 天守の模型です。1945年の福山空襲による焼失前の姿で砲撃に備え、黒い鉄板が貼り込められた天守北側の壁面も忠実に再現されています。

制作したのは、城郭模型作家の島 充さん。古い写真や資料などから考察を重ねて、建物の立体構造から空間に至るまで写実的な作品を作り上げます。

城郭模型作家 島 充さん
「わたしはだいたい作るとき、古写真との出会いから。これがモチベーションなんですね。古写真で感動するということがないと始まらない。古写真を見て、わー、これ、すごいな。自分の目で、空間で、立体で見てみたいな」

島さんの最新作、それは、現在の姿とは違う、名城・広島城の姿です。

□ 初公開作品 広島城 大小天守

今回、初公開となる島さんの最新作「広島城 大小天守」です。明治初期の古写真をもとに造られました。

現在の広島城は、「大天守」だけが再現されています。

しかし、当時は、その両隣りに2つの建物「小天守」を備えていました。樹木の間から小天守の姿をとらえた唯一の写真を解析して、東小天守と南小天守を連結していた姿を再現しました。

城郭模型作家 島 充さん
「東小天守が写ってるんですね。これが発見されたのが、平成13年(2001年)でしたっけ。自分で作って、いろんな方向から見て、広島城はこんなにすごかったんだと思ってドキドキしちゃったんですね」

毛利輝元が築城した在りし日の広島城。唐破風と呼ばれるカーブしたような形状の屋根もジオラマでよみがえらせました。

島 充さん
「唐破風が写っていたというのは、すごい衝撃だった。広島城には唐破風1個もないというイメージだったわけですから、びっくり」

災害や戦火で傷ついたジオラマ作品も展示されています。

□ 広島城 -壊滅と再生-

原爆により倒壊した当時の姿と再建に向け 施工直前の姿

そして島さんは、天下の名城・熊本城も手掛けています。

□ 熊本城 飯田丸 五階櫓 ”一本石垣”

2016年の地震で被災し 崩れた石垣

□ 熊本城 本丸

こちらの熊本城 本丸は、明治3年ころの姿が再現された大型作品です。

曲がりくねった通路で「難攻不落」とされた名城の複雑な構造を造りこみました。規模や精度では、国内随一ともいえる城郭復元模型だそうです。

□ 福知山城 天守

明治初期の福知山城 天守です。2年前、島さんが発見した古写真から模型化しました。

写真では天守の姿は不鮮明ですが、情報や資料を手がかりに解析を重ね、その姿を再現したのです。

訪れた人たち
「こういった模型で見ると、全体がよくわかるので、実物を見るのとはまた違った見方があるんだなというのがよくわかって、非常によかったですね」

「感動しか言葉が出ません。すばらしかった。やっぱり広島城大好きですから、広島城の方へしっかり時間をとって見せてもらいました」

城郭模型作家 島 充さん
「まわりの空気や光の色などを含めて、お城だなと思うので、今はない建物をまさに目の前で見ているかのような、そういう気持ちになっていただければ。実物ならではの迫力というようなものを感じていただければと思います」

「日本の名城 ー 島 充 驚異の城郭ジオラマ展」は、10日まで広島城 二の丸で開かれています。

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