【SNS特報班】避難所のプライバシー確保

台風14号が接近し、避難所に身を寄せた市民ら=9月18日、宮崎市・生目地域センター

 台風14号では、避難所のプライバシーの確保が課題の一つと感じました。コロナ対策としても間仕切りなどの対応が大切だと思います。【宮崎市・50代看護師女性】
間仕切り対応9市に差
 9月の台風14号では全26市町村に「緊急安全確保」や「避難指示」が発令され、1万人超が避難所に身を寄せた。宮崎市の50代看護師女性は、自身は避難しなかったものの、「床に毛布を敷いて寝泊まりする人たちを見て、常々感じていた避難所運営の課題を改めて認識した」という。
 国はガイドラインで「プライバシーの確保された間仕切りによる世帯ごとのエリアの設置」を推奨しているが、環境整備に関する明確な基準はなく、自治体の判断に委ねられている。県内9市に取材すると、対応に差がある実態が浮かび上がる。
 9市はいずれも避難所で使う屋内用テントなどを備えているが、台風14号の際、避難者用に広く貸し出しを行ったのは都城市と日南市のみだった。
 最大で649世帯1251人が避難した都城市は、簡易テントを約3300張り常備しており、希望者全員に貸した。担当者は「ソーシャルディスタンスとプライバシーを確保し、落ち着いてゆっくり過ごしてほしいとの思い」。日南市の担当者も「コロナ禍で避難をためらう人が出ないよう、感染対策を徹底する必要がある。あるものは最大限活用する」との考えだ。
 一方、残る7市は原則、コロナ陽性者や濃厚接触者、体調不良者らに限ってテントやパーティションを使用したという。西都市の担当者は「数が足りない上、テントは熱がこもりやすく、熱中症の恐れがあることを考慮した」、串間市の担当者は「基本的には避難が長期化した場合の利用を想定している」と語った。
 簡易パーティションを多く備える宮崎市は「今後も計画に沿って増やしていき、一般の避難者も使えるようにしていきたい」とした。
 宮崎大の原田隆典名誉教授(災害学)は3密を避ける分散避難が重要としつつ「行きやすい避難所づくりを進めることが、住民の命を守ることにつながる」と避難所環境の底上げの大切さを訴える。

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