漫画「おり鶴さん」 西山進さん死去、94歳 非核・反戦の思いを表現

漫画で反核、平和を訴え続けた西山さん。長崎など各地で被爆体験も証言した=2015年9月、長崎市内

 長崎原爆で被爆し「最後の被爆漫画家」と呼ばれる西山進(にしやま・すすむ)氏が6日午前9時25分、心不全のため福岡市の病院で死去した。94歳。大分県出身。自宅は福岡市。葬儀・告別式は故人の遺志で執り行わず、喪主は置かない。
 17歳の時、少年工として働く長崎市の三菱長崎造船所立神工場(爆心地から約3.5キロ)で被爆。救援のため爆心地周辺に入り、黒焦げやガラスが刺さった状態で息絶えた人々を目にした。
 30代から漫画家として本格的に活動し、被爆体験や非核・反戦の思いを表現した。1979年11月、51歳の時に日本原水爆被害者団体協議会の月刊機関紙「被団協」で、4こま漫画「おり鶴さん」の連載をスタート。核兵器廃絶や援護を求める被爆者の様子、政治批評などを柔らかなタッチで描き、漫画付きルポを含めて計500点を掲載した。
 被団協の事務局次長、代表理事などを歴任。自らの被爆体験を描いた紙芝居を携え、各地で講話を続けた。77回目の「長崎原爆の日」となる今年8月9日、漫画「おり鶴さん」を収めた単行本を出版したばかりだった。


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