”藤沢のソウルフード”、老舗のラーメンを自販機で販売へ 特徴的な味を再現

大新ラーメン

 藤沢のソウルフードともいわれる「大新(たいしん)ラーメン」が、自宅で食べられるようになった。創業から半世紀近くになる藤沢市の老舗中華料理店「大新(たいしん)」が10日から、冷凍自動販売機で販売を開始する。特徴的なあんかけの味を忠実に再現するため、1年近くかけ製品化にこぎ着けた。

 同店は1973年、葛山(かつらやま)晶和社長の義父の内山勝明さんが藤沢駅南口で創業。現在は藤沢、茅ケ崎、鎌倉市内で3店舗を構え、湘南エリアを代表する中華料理店として知られ、親子3代にわたるファンも多い。

 大新ラーメンは元々まかないだったが、30年ほど前に、茅ケ崎市に新規出店する際、店で提供するように。ザーサイとひき肉を炒め、ニンニクやショウガで風味付けしたあんかけと、あっさり味の醤油スープが絶妙にマッチし、たちまち看板メニューになった。

 新型コロナウイルス感染拡大以降、業界でいち早く冷凍自動販売機による非対面・非接触型の販売を取り入れた葛山さん。昨年2月に本社工場(同市石川)で急速冷凍したギョーザと春巻きを自販機で販売したところ、名店の味が自宅で味わえると評判が広がり、同市のふるさと納税の返礼品にもなった。

 最近は来店客も増えつつあるが、テイクアウトも定着していることから、葛山さんは大新ラーメンを持ち帰り商品のラインナップに加えられないか検討。昨年11月から冷凍食品メーカー、自販機メーカーとともに製品化に取りかかった。

 “ソウルフード”の名に恥じないよう、店で出すものと遜色(そんしょく)のない味を再現するため、試行錯誤を重ねた。特にこだわったのがあんかけだ。同じレシピを使っていても、当初は納得できる味にはならなかったという。

 そこで着目したのが、味の決め手となるザーサイの塩加減。塩抜きする際に使う水の量の調節を繰り返し、ようやく思い通りの味にたどり着いた。パッケージのデザインにもこだわり、大新のブランドカラーの赤をベースに湘南の海をイメージしたイラストを添えた。

 葛山さんは「ゆくゆくは高速道路のサービスエリアなどにも販路を広げ、大新ラーメンを多くの人に味わってもらいたい」と話している。

 冷凍の大新ラーメンは本社工場敷地内の自販機で販売。一食千円。問い合わせは同工場、電話0466(86)2933。

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