友好関係を考えるきっかけに 日中国交正常化50周年で式典や催し

日中国交正常化から50周年となる今年、東京都内では式典のほか、日本と中国の若者たちが考えた切手の展示会も開催されるなど、日中の友好関係を考えるきっかけとなっています。

日中国交正常化から50周年を迎えた9月29日、都内で開かれた式典にはフィギュアスケーターの羽生結弦さんや中国人の二胡奏者・チャンヒナさんなど、世界的に活躍する若い世代の人たちが出席しました。羽生結弦さんは「日本と中国、お互いが理解し合ってより交流が増えるよう、そのきっかけになれたらいいなと思っている」と語りました。また、別の会場で行われた式典にも福田康夫元総理大臣や孔鉉佑中国駐日大使など、政財界から多くの出席者が集いました。日中協会の瀬野清水理事長は「若い人たち同士でお互いのことをよく理解し、中国っていい国だな、日本もいい国だなとお互いが思い合って、中国と日本の平和の架け橋になってくれれば非常にありがたい」と語りました。

若い人たちが2つの国の架け橋に──。北京市の西城区と友好区関係を締結している東京・中野区では、日中の若者たちが企画した「記念切手展」が9月29日から3日間にわたって開催されました。切手収集の団体や東京都日中友好協会の青年委員会、中野区国際交流協会などが協力し、半年ほどかけて開催に至りました。切手展を主催した華郵圏の芦川美奈代表は「切手は毎年たくさん発行されるものなので、日中間の歩みを見てもらいたいと思い、企画した」と話しました。

会場では中国の切手収集家として有名な福井和雄さんが集めた切手など、日本と中国の貴重な古い切手が多数展示されました。また、日本国内で数人しかいないという日本郵便・切手デザイナーの玉木明さんが手がけた国交正常化50周年の記念切手も展示されました。玉木さんは「両国でも大人気のパンダ、それに加えて両国を表す桜とボタンを水墨でチャレンジした。この切手を通じて両国の友好関係が一段と進むことを願っている」と語りました。

会場では日中の若者がデザインしたはがきに友好のメッセージを書き、日本と中国で送り合うイベントも行われました。切手も消印もこのイベントのために作られたオリジナルです。華郵圏の張建国代表は「切手は昔ながらの情報交換の手段だが、今でも(切手が)日本と中国の友情を深める架け橋になってほしい」と話しました。

会場を訪れた人からは「国交正常化50周年のイベントはあまりない。もっとたくさんあってもいいと思う。少ないイベントの中でもどんなことをやっているのかなと思い、見に来た」といった声も聞かれました。中野区国際交流協会の遠藤由紀夫常務理事は「若い人たち同士で情報が行き渡っていない部分もあると思う。若者同士で理解し合うことが大事だと思う」と話しています。

<日中友好50周年 若い世代が架け橋に…交流促進を>

日中の友好に向けて、若い世代の人たちが力を合わせてイベントを作り上げていて、日中の交流のために頼もしい存在となっています。

記念のはがきと切手は、日本を象徴する富士山や中国を象徴するパンダが描かれています。この切手やはがきを手がけた中国人デザイナー2人は、子どもたちにも人気が出そうなこのかわいい絵柄には「日中のこれからの友好には、若い世代の人たちの協力が大切」という思いが込められているということです。

今年は日中友好50周年の年です。これからの時代を担う若い人たちはもちろんのこと、さまざまな世代の人たちが友好を深めるきっかけがたくさん生まれてほしいと願います。

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