人口200人の集落の挑戦…続日本100名城「国吉城」で収入、不人気草刈りには賃金 まつりも初開催

持続可能な“城下町”を目指し立ち上げた一般社団法人「佐柿国吉100年プラン推進委員会」のメンバー=10月5日、福井県美浜町佐柿

 「続日本100名城」に選定されている福井県美浜町の国吉城の城下町、同町佐柿の住民がこのほど、一般社団法人「佐柿国吉100年プラン推進委員会」を立ち上げた。国吉城グッズなどで得た収入を元手に、無料奉仕だった集落の草刈りなどに対価を支払い、持続可能な集落運営を目指す。10月10日には初の「秋の国吉城まつり」も開く。メンバーは「観光地としての佐柿の活性化と、集落維持を同時に進めたい」と意気込む。

 国吉城は1556(弘治2)年、若越国境に粟屋勝久が築城したとされる。城下町として栄えた佐柿には江戸~明治時代の古い町家が数軒残るほか、若狭国吉城歴史資料館があり、町内の人気観光地の一つ。一方、集落は少子高齢化が進み人口は213人、82世帯(1日現在)。山道の整備やため池の草刈りなど月1回の奉仕作業を嫌がり、町外へ出る人もいたという。

 委員会は、代表理事の小畑陽一さん(63)ら3人が2月に立ち上げた。有償での空き家手入れ、ポロシャツなど国吉城グッズの販売、町が外注していた同資料館の維持管理を請け負い資金を集める。その収入で奉仕作業の従事者に賃金を出したり、イベントを開いたりして地域に還元していく。町の委託を受け国吉城址や集落のガイドツアーも行う予定で、小畑さんは「観光地を盛り上げながら集落を維持できる」と話す。

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 国吉城まつりは、住民のステージ発表、地元特産のサツマイモや国吉城ブレンドコーヒー、国吉城グッズの販売などをする。同資料館の大野康弘館長による講演「どうした家康!? なぜ美浜に来た?」(午後2時)もある。近くの徳賞寺では2千円で精進料理が味わえる。

 小畑さんは「100年先も佐柿を存続できるようにしたい。天下に国吉城を広めるきっかけになればうれしい」と展望を話した。

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