つみたてNISA、組入銘柄を見直すべき人の特徴をFPが解説

2018年1月にスタートした「つみたてNISA」は、金融庁によると2022年3月末現在、口座数が約587万口座となっており、そのうち30代から40代の口座数が約54%と半分以上を占めています。

つみたてNISAは、利益に対して非課税で投資ができる枠が年間40万円、非課税投資可能期間が20年と長期間を有利に運用できるため、20代の方にもオススメの優遇制度であり、2023年1月からは新成年となる18歳の方も利用できるようになります。

積立投資は一度仕組み化すると、意識せずに継続できてしまいます。経済状況やライフステージ、価値観が変化していくなか、積立投資はそのままほったらかしにしておいてよいのでしょうか?

今回は、つみたてNISAで購入できるETF(上場投資信託)を含む投資信託について、組入銘柄を見直すべき人の特徴などについて解説します。


つみたてNISAの要点をおさらい

つみたてNISAは、NISA(少額投資非課税制度)のひとつです。NISAには一般NISAとつみたてNISAがあり、どちらかを1人1口座開設できます。

つみたてNISAは、年間40万円の非課税投資枠の範囲内で、2018年から2042年に新規で購入した投資対象商品から得られる分配金や譲渡益に対して、20年間にわたり通常約20%引かれる税金が非課税になります。選べる金融商品は2022年8月18日(木)現在、一定の条件をクリアした、215本の投資信託・ETFが投資対象商品となっています。積立日のタイミングは、金融機関や決済方法によっても異なりますが、毎月・毎日・ボーナス設定などの方法を選ぶことができます。

また、損失を確定させた場合、他の課税口座(一般口座や特定口座)で保有している金融商品の配当金や売却益との損益通算はできず、翌年への損失繰越しもできないしくみです。

つみたてNISA、途中で変更できること

つみたてNISAは、当初決めた口座や運用商品は後から変更することもできますので、現状の運用に納得していない場合は変更を検討しても良いでしょう。

金融機関の変更

年内に一度でも積立をして対象商品を購入していた場合、変更できるのは翌年の投資分からになりますが、まだ積立を開始していない状態であれば金融機関の変更は可能です。変更しようとする年の9月末までに、金融機関にお問い合わせのうえ、変更手続きを完了してください。金融機関を変更すると、変更前のNISA口座では、追加で金融商品が購入できなくなります。

NISA口座間の変更(区分変更)

年単位でつみたてNISAか一般NISAかを変更できます。原則として、変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、金融機関で変更手続きを完了する必要があります。金融機関の変更と同様、まだ積立を開始していない状態であれば変更できます。

つみたてNISA、組入銘柄を見直すとよい人の特徴

つみたてNISA口座内では、基本的には対象商品を購入するたびに新規の非課税投資枠を消費します。非課税投資枠を消費しきれていない方は、頻繁な売買をすることも可能ですが、枠を使い切っている方の場合は、頻繁に売買するよりも、じっくりと資産形成していくイメージになるでしょう。

長い積立期間では、組入銘柄を変更することもでてくると思いますが、どのような時に見直すと良いのでしょうか?

リスクの取り方を変えたい時

投資経験が上がってきたので、バランスファンドから個別のインデックスファンドに変えたいという場合や、定年が近づいてきたので、個別のインデックスファンドからバランスファンドに変えたいという場合など、年齢や経済状況、人生観などを考慮して、当初決めた商品から変えることができます。

より低コストの投資信託に変えたい時

運用のベンチマーク(参照値)が同じインデックスファンドや、運用方針が似ているアクティブファンドにおいて、より信託報酬などの運用コストが低い商品がでてきた場合には、今後積立ていく商品の見直しを検討しても良いでしょう。

世界や日本の株価が大きく上下した時

直近3年間だけでも、コロナショックやウクライナ侵攻などにより、世界的に株価が大きく上下しました。今後も年間10%や20%はもちろんのこと、40%や50%も大きく上下する可能性は少なくないでしょう。株価が大きく上下すると、事前に準備していないと対応が後手後手にまわってしまい、当初の老後資金計画に比べて、自分の資産が大きく上下にブレてしまい、老後の資金不安が高まります。そのリスクを軽くするためにも、大きな世の中の動きを意識しつつメリハリのあるメンテテンスを心がけましょう。

このようにいくつかのケースが考えられますが、これまで積立ててきた投資信託を売却せずにそのままにしておいて、その積立設定を解除し、これから積立てたい投資信託の積立を新規設定することで変更できます。

環境が変わったらログイン!

つみたてNISAは、一度積立て始めたらほったらかしで良いと思うかもしれませんが、そんなことはありません。仕事や家族構成、生活スタイルが変わった時、世界や国内情勢に大きな変化があった時、世界や日本の株価が大きく上下した時などには、口座にログインするクセをつけていくとよいでしょう。

つみたてNISAは利益に対しては非課税ですが、損失をほかの利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりはできないため、長期間積立をしていれば必ず利益になるかのような極端な思い込みは禁物です。マーケット環境は自分だけに都合よく変化してくれることはありません。

世の中のこと、社会のことを学ぶのに、積立投資はとても有効なツールのひとつです。つみたてNISAを通じて投資の勉強をするだけでなく、それ以上に我々と社会との関わり方やあり方を学び、今後の人生を豊かにするために活用いただけることを願っています。

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