「手放したくない洋服でも新たに繋げられる」“まっ黒”に染めて服を再生リサイクルならぬ、いま注目のアップサイクルとは【SDGs】

お気に入りの服が汚れや色落ちによって着られなくなってしまった経験は誰でもあると思います。そんな服を真っ黒に染めて生まれ変わらせる取り組みが注目されています。

<松木翼記者>

「浜松市西区のリユースショップにきています。古着やブランド品の買い取り販売を行っているお店なんですが、入ってすぐのところに、真っ黒な服ばかりを並べたコーナーがあります」

Tシャツ、セーター、コート。真っ黒なアイテムだけが並ぶこの一角。実は、すべての商品が元々は別の色でした。

<エコスタイル浜松入野店 杉田真譜さん>

「『黒で繋ぐ』って呼んでるんですけど、買取した品物を黒に染めて並べています。たとえばこちら。元々はデニム素材のジージャン。かなりシミや汚れが全体的に広がっていたもので、そのまま汚れが落とし切れなかったので黒に染めています」

静岡県浜松市西区で洋服の買い取り販売を行なうエコスタイルが始めたのは、「黒で繋ぐ」という洋服の「アップサイクル」です。「アップサイクル」とは、捨てられるはずのものに新たな価値を与えて再生すること。買い取ったもののシミや汚れがあって販売が難しい洋服も、黒く染めることで復活するといいます。

では、どんな洋服が黒染めの対象となるのでしょうか。

<エコスタイル浜松入野店 杉田さん>

「これは黒染め行きです。襟元に黄ばみがあって汚れもあるので。これが完璧にきれいになるのは難しい」

このプロジェクトでタッグを組んだのは、京都市の京都紋付という染物会社です。創業以来、100年以上に渡って黒い紋付袴を扱ってきた黒染めのエキスパートで、特殊な技術を用いて黒染めされた古着は色落ちに強いだけでなく、生地が柔らかくなり撥水効果も出るといいます。

ポイントは黒に染まるのが綿100%や麻100%などの天然繊維だけで、ステッチなどによく使われる化学繊維は染まらないということ。

<エコスタイル浜松入野店 杉田さん>

「これは元々アイボリーカラーの商品で状態的に再販が難しくなっていた。糸が染まらないからでステッチが浮き出てくるのが予想できたので逆に可愛くなりそうだなと思って染めました。そのままだと目立たなかった刺繍が黒に染めたことによってかなり目立つようになった」

Q.出来上がりを見てどうでしたか?

「めっちゃ良くなったなと思いました」

黒染めによって生まれ変わり、前よりも商品価値が高まるものも少なくないといいます。

<エコスタイル浜松入野店 杉田さん>

「売却する洋服に愛着を持っていたりなかなか手放したくないと思うものでも、この『黒で繋ぐ』があることによって新たなお客様にお繋ぎできるのが魅力」

この黒染め、店頭販売だけでなく染めてほしい自分の洋服も依頼できるそうです。

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