箱根の宿 QRで施設案内や混雑情報 109言語対応、ルームサービスも決済も

非接触で情報を提供できるツールを導入した吉池旅館=箱根町湯本

 新型コロナウイルス禍でも国内外の観光客に快適に宿泊してもらおうと、神奈川県箱根町の宿泊施設などが、非接触型の多言語対応ツールを導入している。宿泊客らがスマートフォンでアクセスして施設案内利用や決済ができるサービスで、109言語にも対応。紅葉時期やインバウンド客の受け入れに備え、開発した企業は「不要な接触やスタッフの負担も減る。時代のニーズに合わせて活用してほしい」と期待する。

 都内のソフトウエア開発会社が旅行会社と共同開発した宿泊事業者向けコミュニケーションツール「kotozna in─room」は、今年7月時点で全国約240施設、県内6施設が導入。宿泊客がQRコードを読み取ると施設の専用ページにアクセスでき、地域や施設の特色に合わせ混雑情報や、フロントへ問い合わせ可能なチャット機能を利用できる。

 「吉池旅館」(同町湯本)では、コロナ禍でチェックイン時の部屋案内サービスを廃止したことから、今年1月に同ツールを取り入れた。フロントスタッフの加藤洋平さん(36)は「部屋から温泉の混雑状況を見られたり、食事のアレルギーに関する問い合わせに対応したりできて便利。記録も残せるのでスムーズ」と実感する。箱根ホテル(同町箱根)でも4月に導入し、「フロントや電話で対応していたルームサービスや観光情報を確認されている宿泊客も多い」という。

 吉池旅館はかつては宿泊客の半数がインバウンド客だったが、今は1割にも満たず国内客が中心という。サブマネージャーの宮地健二さんは「8月の稼働率は8割までに回復したが、閑散期は5割ほど。多くの宿泊客をもてなせる準備を進めているので、インバウンド個人客の受け入れが始まることを期待したい」と話す。

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