明治から昭和 真鍋島の暮らし描く 故道西さん彩色画、解説付け紹介

真鍋島の伝統行事などを彩色画にして残した道西さんの作品が並ぶ会場

 明治から昭和にかけての笠岡諸島・真鍋島(笠岡市)の暮らしや伝統行事などを彩色画にして残した島民・故道西喜代吉さん(1897~1982年)の作品の展覧会が、同島内で開かれている。岡山商科大(岡山市)の学生らが協力し、現在の島の様子と見比べられるよう趣向を凝らした展示が島民や観光客らを楽しませている。

 道西さんは船大工をしており、1939年には同島内に造船所を建設。仕事終わりに色鉛筆で島の歴史や文化に関する記録を毎日描いていたという。

 絵の存在を知った同島の「歴史文化研究会」が、貴重な史料の存在を広く知ってもらおうと、昨春から描かれている場所の調査や説明文の解読などに着手。今年6月にはかねてより同島と交流があった同大に協力を呼びかけ、描かれている場所を示す地図の作成や会場設営をともに行ってきた。

 会場の真鍋島保育所(現在休園中)には道西さんの絵、現在の風景と対比できる写真、解説の約20組を展示。金刀比羅宮(香川県)から授かった大きな札で島民の頭をたたき、無病息災などのおかげを授ける同島の正月行事「お開帳」の様子を描いた作品は、「江戸時代に島の沖合で遭難した同宮の宮司らを島民が救助した縁で始まった」という歴史も記されている。

 生前の道西さんを知るという同島の女性(82)は「このような絵を描き残していたのは知らなかった。かつてあった行事の絵などを見ると懐かしい気持ちになる」と目を細めていた。

 30日までの毎週土、日、祝日に開催。午前11時~午後2時。入場無料。15、29日は同島の郷土料理の試食もある。

真鍋島の正月行事「お開帳」の様子を描いた作品

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