ラズガットリオグル2勝、バウティスタ1勝。レイは未勝利でタイトル争いから後退/SBK第9戦ポルトガル

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第9戦ポルトガルラウンドがアウトドローモ・インターナショナル・アルガルベで行われ、レース1とスーパーポール・レースはトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)、レース2はアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝を飾った。

 野左根航汰(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース1とスーパーポール・レースで20位、レース2では21位でゴールしている。

 土曜日に行われたスーパーポールでは、ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がポールポジションを獲得し、2番手がラズガットリオグル、3番手がアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)となった。現在、チャンピオンシップでランキングトップにつけるバウティスタは4番手。野左根は18番手からのスタートとなった。

■レース1:14周に短縮されたレースでラズガットリオグルが勝利

 SBKのレース1前に行われたスーパースポーツ300世界選手権(WSS300)のレース1で転倒が発生し、赤旗中断。ライダーがヘリコプターによって病院へ搬送された。ヘリコプターの戻りを待ったためにSBKのレース1はスタート進行が予定よりも遅れ、約1時間以上のディレイ。また、周回数は21周から14周に減算されている。
 
 レース1は気温27度、路面温度43度のドライコンディション。ポールポジションスタートのレイが好スタートを切り、2番手にはチームメイトのロウズが続く。しかし2周目にラズガットリオグルがロウズをかわして2番手に浮上した。ロウズはその後、5番手に後退している。3番手にはアクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)、そして4番手にバウティスタが続く。
 
 トップはレイがキープしていたが、ラズガットリオグルが接近し、その差はわずかという状況である。6周目、ラズガットリオグルが1コーナーのブレーキングでレイをオーバーテイクし、トップに立った。2番手に後退したレイの後ろにはバッサーニ、そしてバウティスタが迫る。

 バウティスタはバッサーニと3番手争いを繰り広げ、8周目に3番手に浮上すると、残り5周、2番手のレイとの差を縮めて最終コーナーの立ち上がりからメインストレートでレイをパスする。しかしレイも1コーナーでバウティスタからポジションを奪い返した。トップのラズガットリオグルはすでにふたりの1秒以上前を走っている。レイとバウティスタは激しい2番手争いを繰り広げる。
 
 その翌周、バウティスタが再びメインストレートでレイをオーバーテイク。今度はバウティスタがポジションを奪われることなく、2番手に浮上することに成功した。
 
 優勝したのはラズガットリオグル。最後はバウティスタが接近したものの、トップをキープした。2位はバウティスタで、3位はレイが獲得している。そして終盤に接戦を演じたバッサーニとロウズによる4位争いは、バッサーニに軍配が上がった。ロウズは0.091秒差の5位でゴールしている。野左根は20位だった。

■レース2:ランキングトップのバウティスタが優勝

 スーパーポール・レースではラズガットリオグルが優勝。2位はバウティスタ、3位はレイが獲得した。野左根は20位でゴールしている。

 レース2は気温25度、路面温度42度のドライコンディション。スーパーポールの結果により、ラズガットリオグルがポールポジション、バウティスタが2番グリッド、レイが3番グリッドからスタートした。

 レイはスタート直後にラズガットリオグルからトップを奪い、レースをリードする。2番手に続くのはラズガットリオグル、3番手にはバウティスタ、その後ろには4番手のマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、5番手のロウズが続く。

 トップを守っていたレイだが、7周目の1コーナーでラズガットリオグルがレイをオーバーテイク。トップに立ったラズガットリオグル、レイ、バウティスタ、リナルディがワンパックとなってトップ集団を形成した。

 しかし9周目にはバウティスタがトップに立ち、ラズガットリオグルが2番手、レイは3番手に後退する。このころリナルディが遅れ始め、その後、レイもバウティスタとラズガットリオグルに引き離されていく。

 14周目、ラズガットリオグルがバウティスタをとらえる。しかし15周目のメインストレートから1コーナーでバウティスタがラズガットリオグルからトップを奪うと、バウティスタはラズガットリオグルとの差を広げていった。

 バウティスタはそのままトップでチェッカーを受け、今季12勝目を飾った。2位はラズガットリオグル、3位はレイが獲得。4位にはリナルディ、5位にはロウズが入った。野左根は21位だった。

 この結果、チャンピオンシップでランキングトップのバウティスタと、ランキング2番手のラズガットリオグルとのポイント差は56ポイント差となった。また、ランキング3番手のレイはバウティスタとの差が82ポイントに拡大している。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)のレース1は12周に短縮して行われ、ステファノ・マンジ(ダイナボルト・トライアンフ)が初優勝を飾った。トライアンフとしてもWSS史上初優勝となった。2位はロレンソ・バルダッサーリ(エヴァンブロス.ワールドSSPヤマハチーム)、3位はフェデリコ・カリカスロ(アルテア・レーシング)。ポイントリーダーのドミニケ・エガーター(テンケイト・レーシング・ヤマハ)は4位で、表彰台を逃した。レース2ではエガーターが優勝。2位はラファエレ・デ・ロサ(オレラック・レーシング・ヴェルドナトゥラ・ワールドSSP)、3位はジャン・オンジュ(カワサキ・プチェッティ・レーシング)だった。

 スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)では、レース1の序盤にチャンピオン獲得の可能性を残していたビクター・スティーマン(MTMカワサキ)とホセ・ルイス・ペレス・ゴンザレス(アコレード・Smrz・レーシング)が転倒。このアクシデントによってレースは赤旗中断となり、その後、SBKとWSSのレース1後に再開されることになった。スティーマンはヘリコプターで病院に搬送され、Worldsbk.comによれば重体と伝えられている。

 その後行われたレース1は8周で行われ、ディルク・ガイガー(Fusport-RT・モータースポーツ・by SKM-カワサキ)が初優勝。2位はユーゴ・デ・コンセリス(プロディーナ・レーシング・ワールドSSP300)、3位はウンベルト・マイヤー(AD78・チーム・ブラジルby MSレーシング)が獲得している。WSS300はポルトガルラウンドが最終戦のため、レース1の結果、アルバロ・ディアス(アルコ・モーター・ユニバーシティ・チーム)がWSS300の2022年チャンピオンに輝いた。

 レース2ではミルコ・ジェンナイ(チームBrコルセ)が優勝。チャンピオンを獲得したディアスが2位、3位にはマッテオ・ヴァヌッチ(AGモータースポーツ・イタリア・ヤマハ)が入った。岡谷雄太(MTMカワサキ)はフリー走行2回目の転倒による負傷のため、レース1、レース2ともに欠場となった。岡谷はランキング7位で2022年シーズンを終えている。

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