浮体式洋上風力発電1号機 戸田建設など五島沖で組み立て開始 長崎

半潜水型台船に載せて運ばれた洋上風力発電機の浮体=9日午後1時7分、五島市椛島沖

 戸田建設(東京)など6社でつくる合同会社は9日、長崎県五島市沖で計画する浮体式洋上風力発電について、1号機の海上での組み立て作業を始めた。合計8基建設する予定で、2024年1月の運転開始を目指す。商用では国内初の浮体式洋上ウインドファーム(集合施設)となる。
 同社によると、洋上風力発電機は全長176.5メートル、海面のタワー部分などは100.5メートル。1基当たりの出力は2100キロワットで、8機合わせて1万6800キロワット。
 発電機の組み立ては、島影で比較的波が穏やかな椛島沖で順次実施。建て起こしやブレード(羽根)の取り付けなどを経て、崎山沖の促進区域までえい航し、既設の浮体式洋上風力発電機の東に係留を進める。年内に1~3号機、23年に残り5機を設置する予定。
 この日は、福江港の建造ヤードで完成した長さ約130メートルのタワー部分などの浮体を載せた半潜水型台船が出発。タグボートがえい航して約16キロ離れた椛島沖に3時間ほどかけて輸送した。11日以降に建て起こしなどをして、11月に崎山沖に設置する。
 合同会社はほかにENEOS(エネオス)、大阪ガス、INPEX(インペックス)、関西電力、中部電力が出資している。
 政府は、脱炭素の実現に向け、洋上風力発電の導入を加速させる方針。戸田建設は浮体式の研究開発を進め、13年に環境省の実証事業として五島市沖で実施。16年には国内で初めて実用化した。


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